キャスター(9331)のIPO新規上場情報

吸収金額3億以下の小粒IPO。初値視点では需給面で上げる要素が高い。

事業内容は「リモートワークx人材」で、特にリモート化のメリットを強調したビジネスを進めている。

売上は伸びているものの連続赤字、ようやく黒字化が見えてきたところでの上場。既存株主にはベンチャーキャピタルがズラッと並び上場を急いだ感は否めない。

上場時には需給面でメリットがあるが、売出を全くしていないのでロックアップが外れてからの売り圧がかなり厳しい。

なおストックオプションの価格を見ても分かるように前回調達時122億（2022年1月）→上場時12.4億という超絶ダウンラウンド上場。逆テンバガーと揶揄される事態。

１．注目度…全般的なＩＰＯとしての注目

事業内容は「リモートアシスタント」という名称にしているぐらい「リモート人材」のこだわりが強い。
本店も宮崎県の成都に置き、リモートでも仕事ができることの証明。話題性は高い。

リモートワークや働き方改革、地方創生と言ったテーマ性のある銘柄。
10月初旬上場のIPOの中では比較的注目度の高い銘柄として扱える。

２．割安性…ＰＥＲ，ＰＢＲなど財務情報、価格設定から

2023年8月度、単体予想EPSは2.1。
想定価格650円から計算される予想PERは約309.52倍。

なんとか黒字予想での上場ということになるが、バリュエーションでは計れない銘柄。
価格設定が想定価格では前回調達時（2022年1月）の10分の1レベルのダウンラウンド上場。
これをお買い得とみることで価格感への買いやすさがある。

３．規模…吸収金額と市場、売り圧力関係

吸収金額は約2.61億円（想定価格ベースOA分含む）の小粒IPO。
上場市場は東証グロース市場。主幹事は大和証券。

全数公募3500枚で売出なし。オファリングレシオは標準範囲。

既存株主にはベンチャーキャピタルがわんさか。約70％弱がVCという状況。
売出をしないため上場後の売り圧は非常に強い。ロックアップは180日。価格解除なし。
若干数ロックアップが掛かってないところは速攻で売り抜けるか？半年後は怖いところ。

ストック・オプションの未行使残は1,650円～3,750円という高価格帯。
ダウンラウンド上場の弊害が見て取れるが、公募組にとっては安い位置で参加できる安心材料の一つ。

公開価格水準では需給面は超良好と見る。
問題はどこまで高値を許容できるかになりそう。

４．業種…人気化しそうな業種か？魅力があるかなど

リモート人材サービスとして知名度は高い模様。確かに売上の伸びも良いので今後の成長には期待したい。
ただ、上場時の評価では10分の１まで下げられていて、そこまでして上場して既存株主のVCが売り抜けたい圧力も感じる。

結局仕組みを売っている会社だから、いまいち適正な判断がしにくいというのが混乱させる。
数字は嘘をつかないと考えれば、現時点で少し前の評価の10分の1近くで買えてしまうというのがやはり魅力の部分か？
先のことは良く分からないというのが、この会社のベンチャーらしい魅力とも言えるし不安点とも言える。

５．評価…総合的評価や特記的事項を含める

2022年のIPOからやたら増えているダウンラウンド上場の一つ。
これまでの傾向を見ていると、初値に関しては良好な結果が出やすくこちらも総合評価は高くしたい。
公募参加、初値売り投資としてはA評価レベルだが、規模も小さくそんなに簡単には手に入らないので妙味も見て最終B評価。

初値の目途が難しいところで2倍から初日上限の2.3倍（仮条件上限決定仮定1,748円）。
ストック・オプションの行使価格の状況から見ても上場時参戦で1,750円あたりは十分可能。

その先の2,000円ぐらいまで価格感的に過熱すれば十分ありえることから
2日目突入の可能性まで含めて見ておきたい。

全体考察
総合得点は7点で、私のBBスタンスはB評価です