ＰＨＣホールディングス(6523)のIPO新規上場情報

グローバルオファリング
（公募については国内募集株式数 2,613,300 株及び海外募集株式数 3,194,200 株を目処に行われる予定。売出しについては国内売出株式数 18,293,700 株及び海外売出株式数 22,359,200 株を目処に行われる予定。オーバーアロットメントによる売出しについては、国内3,136,000株及び海外3,833,000株を上限として行われる場合があります。）

吸収金額2000億級の大型IPO。パナソニックのヘルスケア部門がファンドの投資によってM&Aなどを繰り返し世界規模もヘルスケアソリューション企業に、上場はイグジット臭がある。

価格設定は通常だが値がさ株なので注意が必要。海外の需要も大きく影響しそうで、初値は上にも下にもあまり大きくずれないか？最悪地合いに上場日がハマると危険、そうでなければ1枚あたりお小遣い程度の利益になりそう。

ワクチン保管庫も作っていそうで、ヘルスケアの関心が強い状況での上場が追い風となるか？

ストック・オプションがファンドが資本に入った2014年から超連発、2021年の直前に1円で駆け込みがあるのは非常に気になる。

「仮条件発表時に公募売出枚数変更」

公募：5,807,500→6,611,700
（国内分）2,613,300→2,975,200
（海外分）3,194,200→3,636,500

売出：40,652,900→15,476,300
（国内分）18,293,700→6,964,100
（海外分）22,359,200→8,512,200

OA：6,969,000→3,313,100
（国内分）3,136,000→1,490,800
（海外分）3,833,000→1,822,300

公募微増、売出半分以下、OA半分。

１．注目度…全般的なＩＰＯとしての注目

東証1部上場の大型案件。ファンドによるイグジットIPOと見られる。
業種は現在テーマ性の高いヘルスケアだが、セクターは電気機器。

このところ東証1部上場の大型IPOはある程度良い結果が続いているが、
安心していると足元すくわれる可能性がかなり高い。

２．割安性…ＰＥＲ，ＰＢＲなど財務情報、価格設定から

2022年3月度、連結予想EPSは113.68円。
想定価格3,700円から計算される予想PERは約32.55倍。

M&Aなどで拡大し世界規模で活躍していて、緩やかながら業績も好調。
ただ、想定価格は割高なイメージあり。
そこに来て仮条件を大幅引き下げてきたので、安く見せようとしても実は高いというパターンか？

３．規模…吸収金額と市場、売り圧力関係

吸収金額は約1976億円→939億円（想定価格ベースOA分含む）の大型IPO。
上場市場は東証1部市場。主幹事はSMBC日興証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の共同主幹事。

売出株式比率70.1%と売出がかなり多い。現金化イベントIPOと見られても仕方ないところ。
オファリングレシオも高めの水準で押し付け感ある。→売出数を減らして20.8%程度と標準にした。

売出後も筆頭株主のファンド含め、VC系保有は残る。ロックアップに価格解除要件はなし、180日で解除。
上場後すぐに追加売はないが、半年後に玉を抱える状態。

ストック・オプションの未行使残が、ファンド資本後からの連発がひどい状況。
特に2021年に1円で駆け込み議決するなど、上場に向けて儲かるスキームをやりすぎ感ある。
2,200円での発行価格が多いので、想定価格や仮条件でも売りたい層はかなり多いように見える。

残念ながら需給面ではかなり厳しい。
グローバルオファリングで海外分も多いが、仮条件の弱さを見ると引き合いは厳しそう。
ヘルスケア機器に対する買いたい層がどれだけいるか？
他社も同じことをしている大手はありそうなので、わざわざ高値のIPOで買う人は少ないか？

仮条件決定時に売り出し数を大幅削減したが、仮条件も引き下げたことで
いかに最初の条件が売りて有利状態になっていたかが顕になった印象。

４．業種…人気化しそうな業種か？魅力があるかなど

人気化の可能性を考えると、海外配分が多いので海外の動向とヘルスケア機器の需要動向あたり。
ワクチン冷蔵庫など多少の特需もあったかもしれない。しかし、アフターコロナを考えると割高上場は売り手市場に感じる。

ヘルスケア機器で敢えてPHCを指定するような技術は特段分からないというのが本音。
血糖値測定など今後のヘルスケアのトレンド部分を事業として行っているが、果たして評価は如何ほどか？

５．評価…総合的評価や特記的事項を含める

初値売りで利益を出そうと考える層からすると、残念ながら敬遠したいタイプのIPO。
やはりファンドの換金IPOで割高感が否めない。

一方、ヘルスケア分野の企業は業績の伸びも良いところが多く大手企業の強みを活かせれば、
今後の業績も好調に推移する可能性は期待できる。

微妙銘柄の中でも最終判断で公募参加のメリットが少ないとみて、総合評価をD評価に下げる。
初値は公開価格付近で、上場時の地合いによっては引受価格までの公募割れや微増程度で考えたい。

全体考察
総合得点は3点で、私のBBスタンスはD評価です