ネット証券最大手のSBI証券が取引手数料無料化への流れを加速しています。SBI証券では「ネオ証券化(手数料ゼロ化)」の推進と銘打っていち早く、口座開設者の取引手数料を無料化しようとしていますが、その流れで信用取引手数料無料化になる大口優遇適用の条件を緩和しました。
緩和によって多くの人がSBI証券で信用取引なら取引手数料無料状態にできますので紹介いたします。
SBI証券では2022年末迄に取引手数料を無料化にするといったロードマップを発表しています。ただ、本当に2022年末に完全無料が進むかは、他社との競合状況や顧客による次代のニーズに変化しそうです。
今回は2021年3月15日に発表した「大口優遇の緩和」の詳細と、それによって可能になった信用取引手数料無料状態維持+活用法について紹介したいと思います。
ネット証券最大手のSBI証券の座にありながら、取引手数料無料化で一番手になるのか注目ですね。
SBI証券の大口優遇緩和の内容
2021年3月に発表されたSBI証券の大口優遇緩和内容の一覧が下記の表です。中でも注目は丸で囲んだ部分で「日次判定の優遇期間が30営業日」となりました。
日次判定の内容に関しては楽天証券と同じでしたが、その適用が1営業日というのがネック(楽天証券は3ヶ月)でしたが、30営業日に広がったことで1日使って適用取引をすることで、SBI証券での信用取引手数料無料状況の維持がしやすくなりました。
SBI証券の信用取引手数料が無料状態だと何が良いの?株主優待クロス取引にオススメ
株主優待をクロス取引(つなぎ売り)でゲットする方法においては、取引手数料と逆日歩がマイナスになる点ですが、そのうちの取引手数料は「取引手数料無料化」で、逆日歩は「逆日歩のかからない一般信用」で対応できます。
証券会社(松井・カブドットコム・SBI・楽天・大和・岩井コスモ)一般信用売り建て可能銘柄リスト
SBI証券は一般信用売建サービスを行っており、売建て銘柄の量や在庫もそこそこ豊富ですが、取引手数料の部分で他の証券会社楽天証券やSMBC日興証券に苦戦していた部分がありました。楽天証券は先に大口優遇緩和で取引手数料無料を維持できることが知られており、最近では人気になって在庫の部分でいまいちの状況です。
そこでSBI証券の信用取引を取引手数料無料で行えるのなら、かなり武器として使えることになります。
なお、SBI証券は大口優遇適用なしでも取引合計額300万(現物100万+制度信用100万+一般信用100万)まで取引手数料無料です。ですので、約定代金100万までなら大口適用無しでも十分使えます!
それでも大口優遇条件の緩和によってSBI証券での信用取引手数料を無料化できるなら、使い勝手が格段に上がりますので、是非その方法を知っておいて適用しておきたいところです。なお、大口優遇適用のための取引も完全無料でできますので紹介します。
SBI証券の大口優遇達成の方法
いくら大口優遇達成の要件が緩いといっても、一日の新規建て約定代金が3000万以上は結構大きいし、それを達成するために手数料が掛かるのではないか?という人もいるかも知れませんが、安心して下さい。
手数料を掛けずに、概ね600万~700万程度の余剰資金があれば簡単に達成できます。必要な期間は1日なので、他の投資に使わない時期があれば、以下に説明する方法で条件満たして30営業日大口優遇をとっておくと良いです。SBI証券も楽天証券のいちにち信用と同じく日計り信用というサービスでは取引手数料0円、100万以上の約定代金では金利もかからないという特徴を利用します。
日計り信用取引を使ってクロス取引をして3000万以上の新規建の実績を作ります。具体的にやり方を紹介します。
1.信用新規建余力を用意
新規建余力は取引予定量3000万は必要ありません。1日で頑張れば3~4回転できる方法があるので実は1500万の新規建余力があれば可能な気がしますが、3~4回転は現引きを使いますので現金余力が必要です。現金余力なしでは2回転できますので、2000万~程度の信用新規建余力を用意しておけば十分です。そのため、現金で600万~700万程度の余剰資金はとりあえず必要です。
持ち株をSBI証券に入れておけば、代用証券として新規建余力を増やせますし、現金としては600万あれば概ね2000万以上の新規建余力は作れるでしょう。
2.日計り信用を使ってクロス売買
今回は2000万以上の余力があるとして2回転取引で紹介します。またわざわざする必要はないですが返済を確実にするための現引→現渡でのクロス解消方法も紹介します。1回転は前場の寄りでクロスを建てて、前場引けで返済。さらに後場で同様に寄りでクロスを建てて、現引き→現渡でクロス解消します。もし新規建て余力が3000万以上作れる場合ですと1回転で良いので前場であっさり要件満たす取引が可能です。
なお、3~4回転する場合は寄りも引けもクロスを建てて、途中で現引きして現渡しの返済で可能になります。少し手間がかかりミスる可能性もあるのですが、それだと現金は400~500万ぐらいで可能かもしれません。
結論としては取引ミスを防ぐことも考えて、余力があれば2回転取引ぐらいで適用が望ましいです。
2-1.取引する銘柄選定
SBI証券で日計り信用で売建が可能で約定代金が100万以上なら金利が0%を狙います。日計り信用では空売り料がかかる銘柄もありますので、一般信用売建銘柄を検索して表示がないものを選びましょう。
SBI証券の一般信用売建銘柄から日計り通常銘柄、売建受注枠でサーチできますが、それ以上の検索性があまり良くないので、楽天証券バージョンで紹介している楽天証券の画面で銘柄を選んでSBI証券の画面で確認するのが良いかもしれません。
株主優待クロス取引おすすめ証券会社、楽天証券は大口優遇が他社より要件軽くお得!
今回紹介する実例では「ニトリHD(9843)」を選んでみました。実施時の株価は概ね19,500円だったので、新規建1600株で19,500x1,600=3120万なので丁度いいです。
銘柄選びの注意点としては、株価が安定していること(ニュース、決算などでストップ高やストップ安になる危険性、売買禁止の回避)でしょうか?
2-2 実際の注文
実際の注文結果を載せたいと思います。今回は前場は返済、後場は現引→現渡でのクロス解消をしてみました。
注意点は注文は(日計り)でしないと取引手数料がかかる部分ですね。1日の注文の流れを追って説明すると
- 朝の寄り付き前に400株の買いと売りを成り行きで注文→寄り付きで400株のクロス完成(800株の新規建)
- 前場中に引け成りで返済注文を出す→前場の引けで返済完成
- 昼休み中に再び400株の買いと売りを成り行きで注文(日計り信用)→後場の寄り付きで400株のクロス完成(800株の新規建)、この時点で日次判定の大口優遇が達成。
- 後場中に買いを現引で現物に、その後、現渡でクロス解消
- (4の現引→現渡しないなら)後場中に引け成りで返済注文を出す→後場の引けで返済完成
といった流れです。
間違いなければ3番の取引完了時点で1600株の新規建約定が済んでいますので、達成状況を見ると達成となっている筈です。
なお、当日に取引状況を確認すると取引手数料や諸経費等が引かれているように見えます。ただし、正確な金額は翌日に約定履歴で確認できます。
翌日確認すると手数料や諸経費、税額はなく、同値の株価で約定しているので利益や損失はありません。
3.大口適用のお知らせ
以上で完了で、これで翌日から30営業日まで大口優遇が適用されます。30日ではなく30営業日ですので1ヶ月半(6周)ぐらい適用になります。楽天証券の3ヶ月に比べると約半分ですが、それでもありがたいですね。ライバル視しているならいずれ適用日数を引き伸ばしたりもあるかもしれません。
今回5月24日の取引で適用したら7月5日まで優遇期間でした。例えば株主優待クロス取引などでお世話になりやすい3,6,9,12月末が範囲に入るように1ヶ月ぐらい前に余裕があれば取引しておくと良いかもしれません。
ここ最近は楽天証券での一般信用の在庫が大口優遇者が多いことで全然出てこないように感じます。一方、SBI証券では100万以上の約定代金になるような銘柄は取引手数料がかかることから在庫が残っていることが多く、大口優遇を適用させておくことで有利に使えそうです。
また株主優待クロス取引は一日で複数銘柄を取引すれば100万円の約定代金を超えたりしますので、それを回避できるのも取引手数料を大口優遇で無料化しておくのは有効ですね。
いずれはSBI証券での取引手数料は完全無料化なのかもしれませんが、そうなると今度は一般信用売建の在庫がないと言った状況になるでしょう。それよりも今のうちに大口優遇を適用して準備しておくことで、他者が使えない取引を作っておくことは有利に取引を進める上で重要かと思います。