証券会社のサービス競争の一つに「取引ツール」の機能性というものがあると思います。その中でも一際人気の高い楽天証券のマーケットスピード、その進化版のマーケットスピード2がいよいよリリースを迎えます。

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多くの個人投資家にとって大注目だと思いますが、メディア向けの発表説明会に出席してまいりましたので、その様子とマーケットスピード2の特徴などを紹介したいと思います。

マーケットスピードの歴史とコンセプト

マーケットスピード2を語るにあたって、その前身であるマーケットスピードのコンセプトや歴史を紐解くと、どんなところに特徴があるのかが分かるともいます。説明会の冒頭では楽天証券の代表取締役社長より挨拶と過去の歴史について説明いただきました。

  • 金融ビッグバンの時代に個人投資家にリアルタイム表示の環境を提供したい

マーケットスピードの登場は2000年と丁度金融ビッグバンの頃と重なります。当時のインターネットは重いブラウザを何度も更新して値動きを見るような状態で、個人投資家にもリアルタイムで発注もスムーズに出来るするにはツール型の取引ソフトが必要でした。プロのトレーダーの環境を個人にも提供という思いがあるようです。

マーケットスピードの特徴の一つは全部「自家製」という部分です。そのため、顧客の要望への対応が非常に早く年に数回バージョンアップして、その機能を更新し続けてきました。

それが受け入れられて、多くの個人投資家が「マーケットスピード」を利用しているし、評判もよく楽天証券といえばマーケットスピードがあるからおすすめと言われるようにもなっていると思います。

そんな「マーケットスピード」ですが、満を持して「マーケットスピード2」の登場となります。ここまでバージョンアップを繰り返してきましたが、その制か?やや画面が古臭い印象をもたれているかたも多いかもしれません(私もその一人です)。

最近ではスマホのアプリ「iSPEED」も楽天証券にはありますが、こちらのほうが今風というかデザインが大幅に変わっています。今回のマーケットスピード2は、そういったデザイン性の高さも大きく変わっている、そして注目はやはりプロ環境を個人にということで「アルゴ注文」だと思います。

マーケットスピードを使いたいがために楽天証券を利用する人も多いですね。

マーケットスピード2(MARKET SPEED2)の凄いところ

マーケットスピード2の凄いところは3つに要約できます。

「1.情報量」「2.操作性」「3.アルゴ注文」です。個人的にはやはりアルゴ注文に期待ですが、全ての項目でどこが凄いか見てみましょう。

1.情報量

  • マルチウィンドウ対応
  • ヒートマップ、マルチチャートで視覚的に良好

情報量に関してはデイトレーダーさん向けにはさらに分かりやすく、早く情報にありつける印象です。

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上記のような感じで一面に色分けして表示できますので、私だったら恐らくIPO銘柄を登録しておいて、直近IPO銘柄のチェックに使うと思います。IPOの資金の動きは特に、早く流れを察知することも重要です。他の銘柄がストップ高や急騰になれば、次に資金が流れたりしますので、こうやって一気に複数の銘柄の動きが見たくなります。

多分、デスクトップ画面一面にIPO銘柄株ボードとかやりそうです(笑)

2.操作性

  • 特にチャート上でのドラックで指値変更注文などチャート上での注文操作向上
  • レイアウトを自分の好きなように

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チャート上に保有銘柄の発注ラインや、建てた価格のラインが表示されます。発注ラインはそのラインをドラッグするだけで訂正が可能です。最近のFXのツールなどではよくありますが、株取引ではようやく増えてきたところですね。

また画面表示も見てもらえればわかりますが、ずいぶんとスタイリッシュになっているのが分かると思います。

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当日はデモ機をポチポチ触らしていただいたのですが、普段「MARKETSPEED」を使っている身としては、こちらのほうがスタイリッシュで見やすく、早くこちらに移行したいと思わせる感じでした。タブ表示の操作性が明らかに変わっています!

3.アルゴ注文

皆さんの大注目はやはりここでしょう!今回のバージョンアップでマーケットスピード2では5つのアルゴ注文を用意しています。実はアメリカなどではもっと豊富な注文ができるようですが、あまり増えすぎても分かりにくくなるので、まずは5つの注文を用意した模様です(要望によってはさらに増えるかもしれません)。

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「トレイリング」「スナイパー」「アイスバーグ」「リンク」「リザーブ」の5つですね。一つ一つの説明と、説明だけでは記事にしても面白くないので、使い方などを考えてみたいと思います。概ね、発注の有効期限は30営業日と言っていました。

「トレイリング」・・・ある値幅を超えると指値が勝手に動く

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トレイリングはすでにFX取引などでもありますし、知っている方も多いかもしれません。ただ、株取引に関しては今まで、例えば逆指値を買値を超えたら、利確ラインに置き直していたり手動でしていた人もいるでしょう。楽天証券を使えば今後は自動で発注ラインが変わるので便利です。

「スナイパー」・・・値がタッチするまで発注は見せない(板に載せない)

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IPOを見ていると板がなかったのに、あるラインを超えると一気に売りや買いが出てくることがあると思います。これがスナイパー注文ですね。大口さんは普通にこういった注文をしてくるので、どんどん板読みの意味がなくなって来ています。私達、小口には使っても・・・ということもありますが、例えば出来高が少ない場合にちょっと多めの注文出したい場合は、スナイパー注文が使えるならしたいですね。

これもIPO初日に発注するセカンダリー戦では使えそうです。初値で買って、自分の利確ライン超えたら売り注文をスナイパーで出るようにとかできますね。

「アイスバーグ」・・・大口の売買を小口に分けて

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アイスバーグ注文もどちらかというと大口向けの注文方法です。ただ、小口でも1000株を100株づつ、ナンピン買いみたいなイメージで発注を置いておくことはできます。最初から値動きのリスクを分散して発注しておけば、予想以上にあたふたしなくても済みます。

「リザーブ」・・・発注忘れ防止、タイミングを図って予約

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こちら30営業日まで分刻みで注文が可能です。画像にあるように「権利付き最終日」「決算発表前」「月次報告」などのイベント時に分刻みで予約できるので、「引けの10分前」とか「寄り付き30分後」とか自分のスタイルの予約注文が可能です。

個人的にはIPOですと上場初日の14:30からやれやれの処分売があるから、その5分前の成売り注文、やれやれ売りを拾うための、引け1分前買いのオーバーナイトアタックなど予約で仕掛けられるので便利だと感じました。

正直、場をずっと見れる人は少ないと思いますので、こういった注文ができるのはかなり嬉しいです。買い忘れ、売り忘れ防止にかなり役立つと思います。

「リンク」・・・最大で10個の連続注文

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別銘柄の注文・約定状況に応じて、自動で次の注文をセットできます。これも便利ですよね。

またまたIPOで申し訳ないですが、初値を指値で買い注文しておき、約定したら次の「OCO」を入れる「IF-DONE OCO」の注文がこれで可能です。初値買い数%抜き、損切りラインの設定が一度で可能になります。

特にIPOのセカンダリーやデイトレの方は、売買する時に戦略は決まっている(決まっていないなら決めたほうが良い)と思いますので、それに合致するときだけシステマチックにこれらの注文方法を使って発注されるといったことが可能です。

 

5つの注文方法の説明が長くなりましたが、このうち「アイスバーグ」「スナイパー」が主要ネット証券で初めて実装となります。他の注文方法は使えるところもありますが、マーケットスピード2のいろいろな機能が一気に良くなっているので、マーケットスピード2でほぼ出来るなら集約するのが良いと感じました。

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私の赤ペンメモが入っていて汚くて恐縮ですが、機能比較をみれば「MARKET SPEED2」の強さがわかると思います。楽天証券無料条件の緩さも特徴的で、合わせて大口優遇条件も緩いので、楽天証券を使えば機能も豊富なツールが、より安い手数料で使えることになると思います。

参考記事)株主優待クロス取引おすすめ証券会社、楽天証券は大口優遇が他社より要件軽くお得!

ちなみにフル板に関して一つ質問してIPOの初値などで「リアルタイム株価予測」的な表示ができないか聞いたのですが、リリース時には残念ながらない模様です。でもツール担当の方はその需要を分かっていそうだったので、要望が多ければバージョンアップで使えるようになるかもしれません。

私もいくつかの証券会社や別のツールを使う時もありますが、最近はマーケットスピードばかりです。

マーケットスピード2(MARKET SPEED2)の使い倒しのヒント

当日の説明会のセッションでは、マーケットスピード2を使った取引手法の本格的な内容がありました。出席していたメディア関係者にはどれだけ本格的にトレードしているのかは不明な部分もあったかと思いますが、楽天証券経済研究所シニアマーケットアナリストの土信田さんにより短い時間ながらの基本であり濃い内容でした。

字面でお伝えするには難しいので、気になったポイントや要約を紹介します。

  • マーケットスピード2は投資アイデアを刺激するツールに!

これが大きなポイントだと思います。マーケットスピード2でいろいろな投資アイデアが出てきそうだということで、参考にいくつか紹介いただきました。

例えば)

  1. チャートフォリオを使ってチャート形状から銘柄探し
  2. スーパークリーナーを使ってスクリーニング、一括銘柄登録
  3. 移動平均線を使った売買を新発注機能で捉える
  4. チャートにニュース表示で出来事と株価変動のイメージ強化

アナリストというだけあってツールの画面を見ていろいろな発想が浮かんできそうというお話でしたが、確かに画面見ていると楽しいですね。

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上記は参考画像です。シストレとまでは行かないけれど、シストレの戦略になりそうなものを探すのにツールを使って視覚的にポチポチするだけでスクリーニングが可能です。

ただの取引ツールではなく、取引の戦略を考えるツールとしても使えそうなのが、マーケットスピード2の特徴と言えるかもしれません。

この内容に関しては今後、いろいろな方法がネット上でも議論されるかもしれませんね。ただ、議論されて皆にしれてしまうような内容は正直使えるとは思えませんので、マーケットスピード2をいじってみて簡単でも良いので、自分なりのオリジナルの手法を考えるのが、投資の勝ち組への道だと思います。

チャート形状のスクリーニングでしたた、例えば優待などのイベントに向けて株価が上昇する銘柄を見つけ出すなどできそうな気がしています。イベント投資の戦略を考えるのにもかなり使えそうです。


新ツールの発表会でしたので、内容が濃く長い記事となりましたが実施に発表会に参加してみて「かなり期待できる!早くマーケットスピードからマーケットスピード2に移行したい!」という気持ちになりました。

少なくともマーケットスピードの愛用者は、マーケットスピードの機能はいいんだけど、そろそろフォントとかUIが近代的なものになってほしいと思っている人も多いと思います。そこは普通に期待できます。さらに、ツールをいじったり注文を出すのが楽に、楽しくなるような工夫がされていますので、リリースしたら是非使いたいですね。

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当日は資料のほか、ノベルティグッズ(印字入りのカステラ!)なども用意してかなり今回のツールリリースには気合が入っていると思います。もちろん、私のような者を呼んで頂き説明会をしているわけですから、これだけ頑張ったものを是非多くの方に知ってほしい、使って欲しいという想いがあるでしょう。

楽天証券の話題といえば、ポイントを使って投信が買えたり、クレカ決済ができたり(ポイント還元で再投資も)、さらにポイントで投資してもポイントアップしたりと楽天市場などを含めた楽天商圏の優位性もあります。

さらに最近の楽天証券はIPOビジネスを強化(2018年)も正式に説明会の場で確認しました。今後ますますネット証券のトップを狙ったサービス拡充が期待できそうです。ちなみに私自身も2018年にメイン証券は楽天証券に移行しています。