大型IPOのブルベアシリーズ。今回も超大型で注目のIPOソフトバンクに関して「結局、ソフトバンクのIPOは買いなのか?」ブル・ベアをまとめつつ考えてみたいと思います。

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もちろん初値予想やBBスタンスの発表などの評価はいつもどおり行いますが、これほど大きなIPOの時はいろいろなところからいろいろな情報が舞い込んできます。もちろんIPO株を売りたい証券会社など金融系からは良い情報が、そうでもない批判メディア系からはマイナスの情報も出てくるでしょう。

そういった情報をしっかりまとめて確認できるようなページにしたいと思いますが、私自身の結論は、この規模の大型IPOの時は常に決まっており、「数10年に1度のIPO祭りですので、参加します!」です。お祭りがある時は、しっかりとその情報をリサーチしておき、十分楽しむというのが良結果を生むという経験則です。

なお、今回のIPOは郵政IPOを超える吸収金額と言われており、当方がIPOの参加を初めて以来過去最大ということになります。今後、そういったIPOが来るのか?と言われると未来のことは分かりませんが、この機会に乗り遅れないようにだけはしたいと思っています。

それではブル(強気)・ベア(弱気)をみていきましょう!


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ブル(株価押上要因)

・なんといっても孫さんのソフトバンクの知名度

今やソフトバンクの名前は知らない人はいないと言うぐらいの知名度でしょう。特に孫正義社長の経営手腕は多くの方に知れ渡っているところです。ちょうど2018年の日本シリーズもソフトバンクホークスの日本一で幕を閉じましたが、経営に関することでは日本一で世界に匹敵する企業の一つと言えます。

常に攻めの姿勢に見えますが、そこにはしっかりとした戦略があります。成功し続けてきた策士によるIPOということで知名度や人気度は抜群。これに乗る投資家はかなり多いはずです。今まで、投資に躊躇していた層であっても孫さん率いるソフトバンクのIPOなら参加してみようというレベルでの人気を誇ると考えています。

・3大携帯キャリアの一つ、情報通信系ビジネス

今回はセクターが通信系というのも大きいですね。すでに上場しているソフトバンクグループの中でも、今回上場する携帯会社ソフトバンクが売上高で稼ぎ頭とも言えます。今や必須となったインフラ(携帯ネットワーク)でビジネスをしているというのは業種的に見て買いと言えるでしょう。

また、新規上場(IPO)前に図ったように「トヨタとの戦略的提携に合意」、新しいモビリティサービスの構築ということでさらなるビジネス拡大のシナリオを提供しています。トヨタとの提携により大きな吸収金額のIPOでも使い道がしっかりあるという印象で、投資が無駄にならないと考えられます。

ソフトバンクはロボット産業にも積極的ですので、IPOとしては成長性の魅力として評価されそうです。

・過去の大型IPOの結果は後押し

なんといっても過去に1兆円を超えるIPOの歴史を振り返ってみても、公募割れした銘柄がないのは後押しするでしょう。

・1987年 NTT株 2.2兆規模 公開価格 119.7万→初値160万(1枚あたり約40万)
・1998年 NTTドコモ株 1.8超規模 公開価格 390万円→初値460万円(1枚あたり50万)
・2010年 第一生命 1超規模 公開価格 14万→初値16万(1枚あたり2万プラス)
・2015年 郵政3社 合計1.4超規模
日本郵政 7000億 1,400円→1,631円(1枚あたり2万プラス)
ゆうちょ銀行6000億 1,450円→1,680円(1枚あたり2万プラス)
かんぽ生命 1500億 2,200円→2,929円(1枚あたり7万プラス)

同じ通信系のNTT系のIPOでは1枚あたり数10万というレベルでプラスになりました。ここ最近のIPOで保険業や銀行・郵便業で事業が微妙と言われたものでもプラスの結果となっています。

今回のソフトバンクは事業的には期待感のほうが高いと思われます。「歴史は繰り返す」という名言を当てはめても、今回もし失敗すればソフトバンクの名が汚れることにもなり、確実に成功させたいと思っているでしょう。ソフトバンクの孫さんはこのあたりは策士でもありますので、勝機ありで上場させるのだと思います。

・各指数への組入、機関買い需要

これは大型IPOではいつもあることですが、指数組入れや、投信・ファンドなどの買いが確実に入ることが想定されます。時価総額が大きくなりますので、リバランスを考えると相当量の買い需要が見込まれることになります。

上場後の買い需要になりますが、それが上場時の株価維持の安定材料になりますね。

・グローバルオファリング(海外勢の割合に注意)

ソフトバンクのIPOはグローバルオファリングになると思いますが、海外割当分も気になりますね。海外の機関投資家の買いの割合が多い場合、想定価格や仮条件の設定はかなりシビアになり、しっかりとしたIPOプレミアムの付いた公開価格になると考えられます。

海外の需要が盛んになる値付けが想定されるのも上げ要因です。また海外割合が多くなれば、国内需要に対する供給が絞られることになりますので、それも初値押上要因になるでしょう。ソフトバンクは海外志向の大きい企業ですので、やや海外への配分も多いのではないかと思っています。

新規承認後の内容をみると、今回は国内への配分が高い模様です。

・推しどころは高い配当性向

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ソフトバンクの目論見書からは高い配当性向が掲げられています。投資家としては魅力の一つであり、投資先として考えるきっかけになるでしょう。また、配当が高い状態が続けば安定して長期に持つ理由になります。


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ベア(株価押し下げ要因)

・いわゆる問題視される親子上場

ソフトバンク上場となった時点で、まっさきに言われるのが親子上場でしょう。親会社のソフトバンクグループ(9984)はすでに上場しています。親子上場の問題点は「親子関係の利益相反」「子会社の少数株主の権利損失」あたりを言われています。

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日本では現在でも親子上場している企業は多いですが、海外では上記の事から殆ど見られない状況です。東証からも「子会社上場」に関しては否定的な意見を発信していて、子会社上場の時は厳しく審査される模様です。

今回、それでも上場することが決定するのならば、「しっかりとした親離れ」を意思表示しているとは思われます。とはいっても上場してしまえば結局は親会社が大株主の上場企業の誕生には間違いないです。東証としても親子上場でも上場会社が増えることは嬉しいことですので、やや甘い承認になるかも知れません。

個人的には上場時(初値)に当たっては、親子上場の問題はあまり意識しなくていいと思います。

・超巨額IPOで吸収金額の問題(供給過多)

吸収金額は公開価格決定まで確定しませんが、2兆円を超える規模になると予想されています。これは1987年のNTT株以来でそれ以上になる可能性もあり、最大級のIPOです。まさに30年に1度のレベルですね。

これほど大きくなると供給過多の問題があり、上場時の需給バランスが悪くなります。上場前に簡単に公開株が手に入るならばわざわざ上場後に買う必要はありませんので、上場時の買い需要が少なくなり初値引き下げ要因です。

そのため、しっかりとしたIPOプレミアムディスカウントがなされているか?というのは気になりますね。上場企業としては出来る限り高い価格で公募株を集めたいでしょうから、そのあたりの線引(想定価格、仮条件設定)は楽しみになります。

今回は成長性や新規事業を売りにしそうですから、やや割高に見える可能性もありますね。

・携帯料金引き下げ?事業リスク

ソフトバンク上場前にジャブというか、ソフトバンクの経営にダメージのありそうなニュースが流れています。特に同業種NTTの通信料金引き下げ発表などは「ライバル会社の仕打ち」とも言えるやらしさがありますね。

正直なところ携帯料金の引き下げは、いずれ海外からの参入なども考えれば遠くない未来には起こることです。ですので、影響は少ないと思っています。政府の発言なんでのもありますが、こういったニュースは逆に買い場を作っているのではないかと感じるぐらいですね。

むしろ値下げ競走でうまく顧客をゲットするのはソフトバンクの上手なところですので、キャリアの顧客取り合い合戦は今後も見ものかも知れません。

・巨額有利子負債、サウジアラビア王族問題

今回の上場にあたって、ソフトバンクのお財布の台所事情にもクローズアップが集まっています。ソフトバンクグループは強気の企業買収を繰り返してきました。その結果、15兆円に上る有利子負債を抱えています。ここまで来るとさらなる借り入れも苦しくなりますし、ここに来て子会社上場で市場から資金流入を考えているという戦略性を感じます。

上場時にあたり親会社の膨れ上がっている借金がどの程度悪影響視されるかは定かではありませんが、少なくとも親会社グループ全体で、大きな借金がある状態ではあります。市場の投資先を求める金余り状況にも寄りそうですね。

また「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」という10超規模のファンドに対してサウジアラビアからの出資を受ける予定になっており、今度もサウジマネーを当てにするかによって、常にサウジアラビアの政変や事件などの影響は受ける可能性がある。

ソフトバンクの上場には無関係というわけには行かず、こういったソフトバンクグループ全体にかかる問題が常に影響してくるリスクを抱えていることは考えなければならなさそう。

・New! ブックビル期間中にソフトバンクが大規模障害→ブックビル終了時間延期

タイミングが悪いことにブックビル期間中の12月6日、ソフトバンクの通信が大規模障害となりました。かなりの混乱となり、これをみて申込を予定していた人がキャンセルが最終日に出てくるという惨事になっていそうです。緊急でBB期間を延長し、恐らく今回の障害理由やそれに伴って問題が起きないことを必死で説明という事になっていそうです。

販売めどが付いていたのに人気ない商品が余っているとなれば、初値に黄色信号が灯ったかもしれません。


今回、ソフトバンクIPOに関してブル・ベアを書いてみたが、弱気部分に関しては「経営にあたってのリスク」という普通の企業でも常に抱えている問題が多い気がします。そこは今までの孫さんの手腕が評価されるのであれば、上場時には問題ないと見られそうな気がするが、逆に言えばソフトバンクグループが、もっと遠い未来まで伸びるには孫さんがビジネスから離れてもやっていける後継者問題の方が今後出てきそうな感じです。ただ、それは今回のIPOの時期とはまた別の問題でしょう。

上場前になれば、いろいろな考察が出てくると思いますが、ソフトバンクの上場は個人的な感触では過去の巨大IPOの中では比較的ポジティブに感じる面が多いです。

過去のIPOよりも、より強気の姿勢で攻めても問題なさそうという印象をまとめてみて感じたと、この記事を締めくくりたいと思います。

【ソフトバンクIPO】IPO公募株を手に入れるために、主幹事証券はもちろん、複数証券での数集めが重要