クラダシ(5884)のIPO新規上場情報

食品業界に生じる様々なフードロスを1.5次流通という新しい流通スタイルで改善しようとする小売業。

具体的には「3分の1ルール（賞味期限切れ前）」「規格外品・季節品」「過剰在庫」などを別流通で安く処分するネットマーケットなど。

サービスサイトを見たが、社会的貢献色がサイトからは感じにくい、かつ価格も画期的に安く感じないのは少し残念か？

業績は売上増加も赤字拡大と判断が難しいところ。フードロス流通の専業は初物として期待されるかが鍵になりそう。

公開価格の買いやすさが評価されて、広く浅く利益が出るスタイルになるかどうか？6月最終日の上場はマイナスポイントで買い疲れなどの地合いの変化に注意したい。

１．注目度…全般的なＩＰＯとしての注目

事業内容は「ソーシャルグッドマーケット」。
中身はフードロス削減のために流通構造を専業で作っているソーシャル系会社。
SDGｓなどテーマ性は高い。

上場日は6月の最終日。3社同時上場で上場ラッシュの終盤ということで
買い疲れや分散などの注意は必要となりそう。

２．割安性…ＰＥＲ，ＰＢＲなど財務情報、価格設定から

2023年6月度、単独予想EPSは-17.76。
想定価格500円から計算される予想PERは-約28.15倍で赤字。

売上拡大と同時に、赤字拡大は厳しいところ。
IPOの勢いに乗って上手く上場しそうな雰囲気があるが価格的魅力は薄い。

３．規模…吸収金額と市場、売り圧力関係

吸収金額は約18.9億円（想定価格ベースOA分含む）の中型IPO。
上場市場は東証グロース市場。主幹事は大和証券。

売出株式比率65.2%と売出割合やや高め。オファリングレシオは少し高い水準程度。
売出元はVCが含まれていない。

既存株主の上位はVCよりも製薬会社などが多い。新薬への期待感は強そう。

既存株主にベンチャーキャピタルからの出資があるが、継続所有のロックアップがあり、
その他も含めて100%180日程度のロックアップが掛かっている。価格による解除なし。

ストック・オプションの未行使残は約73万株。多くは翌年から行使期間となり、
上場後当面は行使がないのでこちらも売り圧力にはならない。

上場時の売り圧力はないように配慮されているが、半年後、1年後いずれくる売り圧は気になる。

中規模IPOで上場ラッシュ終盤となると需給は少し懸念されるレベルになりそう。

４．業種…人気化しそうな業種か？魅力があるかなど

フードロス削減に対する流通を新たに生み出す、他にあまりない事業でIPOの新規性としては評価できる。
しかしながら売上を伸ばしながら赤字拡大はイメージが悪く、利益の見通しが分からないと投資しにくいか？

出来れば上場前から利益の改善が見られる動きを見せて欲しかったところ。
今の状況だとややギャンブル的な参加になりそう。ということで事業自体の魅力を感じる人にオススメ案件。
いわゆるソーシャル系、社会貢献系なので「意識高い人」を自負する人は積極的に応援して欲しい。

また食品業の会社も「クラダシ」と関わっていることでCSRを果たす雰囲気になればクラダシも注目銘柄になる可能性。

５．評価…総合的評価や特記的事項を含める

銘柄の見どころはやはり社会的テーマ性が高く、それを専業で行っている独特感だろう。
IPO的には他社にない、特別、新規性が高いなどのキーワードは初値人気には必要。
一方で売上拡大と同時に赤字拡大はビジネスの面でどうしても引っかかる点。

IPOの初値投資だけでみるとビジネスの今の業績指標よりも、事業の魅力にシフトしやすいので、
ぎりぎり人気がでて初値プラスに落ち着く程度か？総合評価はC評価とする。

単価が500円のワンコインと気軽に参加できるので、
IPO好きな人は微妙だけど手を付けてみる程度で良さそう。
6月末までIPOブームが続いていれば1枚あたり1万円以上のお小遣いゲットも十分ありえる。

全体考察
総合得点は5点で、私のBBスタンスはC評価です