楽天銀行(5838)のIPO新規上場情報

想定仮条件(1,630円～1,960円)

グローバルオファリング（売出しについては国内売出株式数 28,363,400 株及び海外売出株
式数 25,587,900 株を目処に行われる予定）

楽天グループ虎の子の事業の1つ楽天銀行の放出。楽天モバイルの損失を埋める。なお、めちゃくちゃ親子上場（100％楽天グループが保有）

上場を急いだ感ありで住信SBIネット銀行の上場前に新規承認までこじつけたが、かなり住信SBIネット銀行と比較されて影響を受けやすそう。

それにしても銀行業の上場は世界の金融状況を考えるとタイミングが悪すぎる。

１．注目度…全般的なＩＰＯとしての注目

プライム上場案件。市場再編以来まだ3例目。
今のところプライム上場は初値好調が続いている。

規模感、楽天というネームバリューなど含めて注目度は高い。
4月上場の中でも一番のどうするか案件になることは間違いない。

２．割安性…ＰＥＲ，ＰＢＲなど財務情報、価格設定から

2023年3月度、連結予想EPSは162.43。
想定価格1,795円から計算される予想PERは約11.05倍。

なお想定仮条件(1,630円～1,960円)から仮条件1,300～1,400円と大幅引き下げ(２割強引き下げ)。
本来なら高いと思われていたところにきちんと値付けで割安雰囲気を出してきた。
楽天グループの母体の切り売り的な部分もあり、安く売ってくるのは痛み分けの状態か？

３．規模…吸収金額と市場、売り圧力関係

吸収金額は約1,148億円（想定価格ベースOA分含む）の大型IPO。
上場市場は東証プライム市場。主幹事は大和証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券など。
楽天グループ内の楽天証券への割当も非常に多い。

売出株式比率90.7%でほぼ売出IPO。オファリングレシオは高めの標準範囲。
楽天グループがもともと100％保有で3分の１程度放出の親子上場となる。

ストック・オプションの未行使残はない。

値付け感でどの程度買いがつくのか？大型上場だけに需給は重たいところ。
上場初値は公募のブックビルでの人気度具合によりそう。1,400円なら買いたい人多いか？

４．業種…人気化しそうな業種か？魅力があるかなど

インターネット専業銀行はネット効率化による銀行業のサービス向上のメリットは有る。
しかし銀行業自体で考えるとIPOで人気化は難しく、じりじりと安定的にと言う意味合いが強い。
そういう意味では親子上場はマイナス度合いが高いと感じる。

先日上場を果たした住信SBIネット銀行と同じ目で見られるのは間違いなくライバル関係。
比較してどちらが良い悪いなんてのは見る人によって異なりそうで、楽天は付き合い方をうまくすれば美味しく使える。
一方で改悪やサービス低下などの兆候が見られればすぐにでも他社に移動を考えたくなる会社。

魅力が下がり気味の楽天に対して提示された仮条件や公開価格の妥当性を探る戦いになる。

５．評価…総合的評価や特記的事項を含める

仮条件は恐らく下げてくるであろうと思っていたが、想定通り想定仮条件から大幅引き下げ。
仮条件強気なら割高で無視したい（上場後安値で買いたい）と評価するつもりだったが、
そこは主幹事も無事上場のためにちゃんと買い意欲の前調査が出来ている。

普通に考えると値下げしないと買い手が付かない状況で評価はしたくないが、
ここまで下げると「楽天スーパーDEAL」と揶揄されるレベル。泣く泣くのバーゲンセールなのか？

まさに痛み分けの上場という言葉がピッタリで三方泣きレベルの難解IPO。
総合評価自体はC評価を据え置き。
腐ってもIPO参加大好きという人は手を付けていいし、余計なことをしない、しなくてもいい環境の人はパスと言えそう。

全体考察
総合得点は4点で、私のBBスタンスはC評価です