AB&Company(9251)のIPO新規上場情報

当社従業員への福利厚生等を目的として、AB&Companyグループ従業員持株会に対し、公募による募集株式及び売出株式のうち13,600株を上限として、また、当社グループFCオーナーとの取引関係の強化を目的としてAB&Companyグループ取引先持株会に対し、公募による募集株式及び売出株式のうち13,600株を上限として売付けることを引受人に要請する予定（親引け）

一部を海外販売も予定（大和証券株式会社及びマッコーリーキャピタル証券会社を共同主幹事）。

全国展開の美容室チェーン。上場加速で1000店舗を目指す。上場も含めて拡大に対して有言実行感はある。

ただし、公募数少なく売出の多いイグジット臭のかなりあるIPO。売り出すファンドのロックアップが1.5倍解除要件ありというのもみると初値以降の株価はかなり押さえつけられる条件揃う。

業績もボチボチ、事業の目新しさはあまりないことから店舗拡大はあっても成長期待にも乏しい。

どうも参戦しづらい内容だが、スケジュール感が良ければプラス初値が見込める程度。

１．注目度…全般的なＩＰＯとしての注目

全国に展開する美容院ブランド「Agu.」などの運営会社。
知名度は高そうだが、IPOとしての人気度には劣るか？

比較対象としてはQBネットHDあたりが真っ先に思い当たる。
VCの売出案件なだけにかなりイメージが悪い。

２．割安性…ＰＥＲ，ＰＢＲなど財務情報、価格設定から

2022年10月度、連結予想EPSは92.83円。
想定価格1,470円から計算される予想PERは約15.84倍。

先程あげたQBネットなどフランチャイズ美容・理容店などと比べるとかなり割安。
成長はどうかだが、まだ店舗数としては拡大予定。高い配当性向で翌期から配当予定。

割安性からはかなり評価できるのだが、それでは初値が伸びないIPO情勢でどうみるか？

３．規模…吸収金額と市場、売り圧力関係

吸収金額は約79.9億円（想定価格ベースOA分含む）の大型IPO。
上場市場は東証マザーズ市場。主幹事は大和証券。

公募売出比は公募が50,000枚と申し訳無さ程度で、ほぼ売出IPO。売出元はSunrise Capital。
持ち株の半分程度を売り出して半分を残す。ロックアップは「180日or1.5倍」
オファリングレシオは36.8%と少し高めの水準。

ロックアップがきついので既存株主からの当面の売り圧力はなさそう。
しかし先々の売り圧力を感じるところ。

ストック・オプションの未行使残は445,400株で行使価格は352円。
この当たりは早々に行使してくるのでは？というところ。

需給面では現金化、売り放したいところが多く売り圧力優勢にみえる。
また最近のIPOの買い手不在感から、需給面ではかなり厳しい状態で上場日を迎えそう。

４．業種…人気化しそうな業種か？魅力があるかなど

多くの方にとって生活に身近で必要性のある美容院のフランチャイズ経営。
全国展開することでサービスに偏りがなく、同一の質でサービスを受けられるのが特徴。

特に新規性のあるビジネスではないが、全国にあるので株主優待などでクーポン・割引戦略の可能性も。
「スタイリストファースト」が売りで働き方改革などアピールしているが、サービスを受ける側からしては
なにか良い特徴（流行る特徴）が見えてこないのは魅力の点では厳しいかもしれない。

５．評価…総合的評価や特記的事項を含める

一言でいうとかなり微妙なIPO。最近の買い手不足のIPOでは初値は厳しさが伺える。
指標的には随分と割安に見えるが、財務的な問題も抱えているので中長期で不安な部分もある。

とりあえず初値は公開価格付近がいいところで、上場後にさらに安値で買える可能性もあり、
売出株、初値売り向きのIPOではなさそう。

一方、じっくり持てば配当もあり、割安性が評価されて株価が伸びる可能性もある。
IPO関係なく、そういった部分を評価して向かう銘柄と考えれば、もうIPOである価値はないかもしれない。

D評価にするほど全然だめではないのでC評価にするが参加は見送りでもいいかもしれない。
この手のIPOは基本初値は厳しく、うまく成長続けば株価が伸びている銘柄が多い。
買うなら上場後にどうぞどうぞの状態があるのは、後で伸びる銘柄でも同じ。

全体考察
総合得点は4点で、私のBBスタンスはC評価です