日本電解(5759)のIPO新規上場情報

「電解銅箔」というEVに搭載の電池や、電子回路基板に使われる部品メーカー。
既存株主が筆頭ファンド1社含め3社のみだが、日鉄は100％放出。ファンドも大部分を放出というイグジットIPO。なお、MSD1号の株主や既存株主の3社という構成。

沿革を見ると日立製作所、住友ベークライトなどの出資会社から、現体制に子会社化されている。

素材メーカーだけに銅価格に左右されそうな業績。IPOでのお得感は感じづらいか？

過密スケジュールで売出し規模大きい内容だと初値は苦戦しそう。

１．注目度…全般的なＩＰＯとしての注目

電解銅箔という素材メーカー。セクターは非鉄金属。重要な産業だが地味感あり。
このところ素材価格の高騰もあるので、それが大きく影響するか？
（ちなみに素材価格があがるほど業績は苦しい模様）

上場ラッシュ後半で買疲れの時期で、規模が大きいのは不安要素。

２．割安性…ＰＥＲ，ＰＢＲなど財務情報、価格設定から

2022年3月度、連結予想EPSは120.55円。
想定価格2,480円から計算される予想PERは約20.57倍。

想定価格からの割安感はあまり感じない。仮条件は大きく下側を伸ばしてきて、
弱気なところをみると評価はかなり厳しそう。

３．規模…吸収金額と市場、売り圧力関係

吸収金額は約178億円（想定価格ベースOA分含む）の大型IPO。
上場市場は東証マザーズ市場。主幹事はSMBC日興証券。

売出比率99.2%とほぼ売出IPO。VC（これも3社が作った）と日鉄100％売出のイグジット案件。
残念ながら沿革を見ると、上場のやり方はたちが悪いパターンと言える。

一方、上場後はロックアップやストック・オプションに未行使残もないためそれ以上の売りには乏しい。
公募組の早売とセカンダリー勢の買いで初値が決まりそう。

上場ラッシュで買い勢が他の銘柄に移って、ここは安いなら買うといった状況になりそうで初値は苦戦しそう。

４．業種…人気化しそうな業種か？魅力があるかなど

産業的には今後、電気自動車のバッテリーや半導体回路基盤向けなど需要は見込める。
日本企業による質の高い部品の安定供給という意味では企業価値はありそう。

一方、普段は海外同業種との争いで価格競争、供給力競争では厳しそう。
イグジット的なIPOのやり方を見ても期待はかけづらい。

５．評価…総合的評価や特記的事項を含める

6月の上場ラッシュの中では不安要素が多いイグジット系IPO。
仮条件をみても引き合いの弱さが感じられ、いざ上場日になるとそれも鮮明に現れそう。

不人気そうな部分と大型でジャブジャブ案件ということでIPO入手は容易な部類。
少しでも利益が出るなら参加としたいところだが、五分五分の勝負なら参加に意味があるかというところ。

参加者のIPO全体に対する参加意識や懐事情でスタンスは変わってきそう。
過去にダブル・スコープ（2011年）というIPOがあったが主幹事も同じで雰囲気が似ていると感じた。

上場ラッシュで微妙感がある大型はやはり初値は厳しく見ておきたい。

全体考察
総合得点は3点で、私のBBスタンスはD評価です