短期的な取引をする場合に板読みをして売買状況を判断したい時があります。そんな時にすべての注文の板が確認できる「フル板」が見れるツールは重宝します。
特にIPO銘柄を取引する人は、上場日の寄り付き前の板などすべての注文をチェックしたいという需要は高いでしょう。このページではフル板が見れる証券会社の紹介と、その条件、そして取引ツールの使い勝手などをまとめてみたいと思います。
下記の証券会社では無料または、条件付き無料でフル板が確認できます。
一つ一つ紹介したいと思います。最後に無料条件などをまとめています。
無条件でフル板が閲覧できる楽天証券のマーケットスピード
楽天証券のマーケットスピードは自由度が高く、オリジナルの取引環境が作れることで人気が高いが、無条件でフル板も見れることで重宝する。特に無料利用条件とか、月額料金を気にしたりしたくない人はオススメ。
フル板の操作性としては少し不満がある部分は、IPO初値前の合致点などは自動で表示されない。
スライドバーを利用してアスタリスクが出てくるところまで画面を動かす必要がある。合致点が動いたらその都度移動させないといけないというのはやや使い勝手が悪い。
といっても板機能に求めるものは最低限入っているし、なんといっても条件無しで無料で使えるので、まずは楽天証券の取引ツールで試してみるのがオススメ。楽天証券で問題なければ使い続ければいいし、他の証券会社のツールも使ってみて、そちらのほうが取引の上で使いやすいなら乗り換えるといった使い方ができる。
フル板以外の部分でも使い勝手が良いツールとしてマーケットスピードは評価が高い。
カブドットコム証券のリアルタイム株価予測は優秀も料金必要
カブドットコム証券 インストール版のトレードツール「kabu Station」はかなり使いやすく優秀。フル板に関しては有料オプションとなっているが無料条件あり。
条件は「信用取引口座または、先物オプション取引口座開設済みかつ、前月当社全取引における約定回数が1回以上ある場合」ということで毎月取引が1回以上は必要。
フル板表示の他に、同じオプションで「リアルタイム株価予測」「始値/終値予測機能」といったIPOなどの板読みで欲しい機能もついてくる。
表示が非常に優秀で赤枠で囲った部分の始値予想にはIPOでは寄り前の合致点が表示されて、初値予測がしやすく、さらに出来高のボリュームがグラフで確認できるので、当日の売買で最頻出の値などが確認できる壁になりやすい価格帯がチェックできるので、激しい動きのIPO銘柄にとってはありがたい機能となっている。
正直、使ったツールの中ではIPO銘柄をセカンダリーで取引するには満足度が高いので、毎月何かしら一回以上取引してツールを使いたいところ。
取引条件無しで利用できるなら良かったのだが・・・。
DMM.com証券のDMM株では板発注画面で東証FLEX Full 板情報を配信
DMM.com証券の取引ツールでは東証FLEX Fullの板情報を条件該当で利用できる。
利用条件は3つで「新規口座開設後最大2ヶ月」「信用取引口座開設」「現物取引約定後翌月末まで」となっている。この条件の中では信用取引口座開設をしておけば、ずっと利用できるのでオススメ。
特徴としては「始値予想」「終値予想」もみれるので、ほぼカブドットコム証券が提供する機能と同じように使える。DMM.com証券の信用取引手数料は安いため、そのまま板発注しても手数料で優位に立てることからオススメ。
新興のネット証券のため、実績が浅いからあまり知られていないが、その分、取引手数料が安かったりフル板表示機能の条件が緩かったりと使い勝手の良い証券会社となっている。
信用口座開設のみで充実の表示なので、オススメ。手数料も安くそのまま売買できる。
SMBC日興証券はフル板情報サービスをツールとは別に提供
SMBC日興証券の面白いところはフル板情報を取引ツールとは分けて特化して用意しているところ。特化しているため、他社の表示よりもできることが多い。
ただし、利用条件があって「前月の約定5回以上」または「ダイレクトコースのステージがシルバー以上」となっている。ステージ制のシルバー以上は月末の残高で判定されるので、口座にいくらかおいて置ける人はオススメ。ただシルバーステージは月末1000万以上とやや厳しい。
なお、SMBC日興証券の取引ツールのパワートレーダーは月額3,240円(税込み)と高く、こちらも約定5回であれば無料となるため、SMBC日興証券の信用取引手数料無料という特徴を活かして、とりあえずSMBC日興証券で月5回以上取引することを継続させるというのも手となる。
利用条件が厳しい分、利用できるツールには価値がある。
表示はインストールなど必要なく、ブラウザから可能。合致点などの表示も見やすくフル板をインストールなくブラウザで表示させておくツールとしてオススメできる。
業界初の特徴も多く
「HFT(High-Frequency Trading)対応の高速表示」
「フル板の表示枚数制限なし」
「リプレイ機能搭載」
と機能面でも充実している。個人的には特に「ブラウザ表示」できるのは使い勝手がよく、もし利用条件を突破できるならオススメしたい。
無料利用条件が厳しいだけに、他にはない機能が多い。表示も見やすく利用できるなら超オススメ。
GMOクリック証券はネット系らしい多機能ツールが特徴
GMOクリック証券は「スーパーはっちゅう君」が東証FLEX Fullに対応。また特に利用条件がないので楽天証券
と同様に初めてフル板機能を試してみるのに最適。
もともと海外製のツールを自社で作り変えているので、多機能すぎて利用者の好みが分かれるところ。
フル板の画面表示は独特で、とりあえず情報は載っているけど寄り前の合致点などは見当が付かない。残念ながらIPOのセカンダリーで取引するにはやや使い勝手が悪い印象。無料条件で利用するならGMOクリック証券よりも楽天証券のツールのほうが良いと感じる。
ネット企業としての自社開発力はあるはずなので、今後のバージョンアップには期待。
多機能すぎて逆に使い勝手が悪い印象も。肝心なところの表示が扱いづらい。
ライブスター証券が新規にフル板対応
ライブスター証券は2019年7月から新たにフル板表示に対応。
利用料金は300円(税抜き)で40営業日だが、無料利用条件に「信用口座開設」があるので、かなり条件がゆるい。その他にも5つの条件から一つでも合致すればいいので、ほとんどの人が無料で利用可能だろう。
ただ、ライブスター証券のトレードツールは癖があってインストール型は毎回起動にダウンロードして起動するなど変な手間がかかる。
フル板表示は概ね揃っているが、見たいポイントがちょっと見にくい印象。気配比というものがあるが、これが使えるかは微妙、初値前の合致点表示に関しては見当たらなかったので、IPOのセカンダリー取引利用には使いづらい印象。
取引手数料が安いのでツールの機能が良ければ、そのまま発注して手数料の安さの恩恵を受けたいので、もう少し表示の方法を改善して欲しい。
まだ、フル板表示が始まったところで表示方法に改善の余地あり。
マネックス証券は「トレードステーション」口座が対応
マネックス証券はフル板情報ツールというものを提供していますが、こちらは利用料月額300円(税抜)となっています。無料利用条件などもないので、あえて選ぶ必要はないと言えそうです。
マネックス証券はトレードステーション(トレステ)というトレーダー向けの口座を用意していて、こちらの口座を開設(契約)すればフル板機能も無料で利用可能です。
ただし、「トレードステーション契約」を行うとシステムの問題上、「マネックス証券の通常のシステムで稼働するツール(マネックストレーダー等)が利用できなくなる他、IPO、PO、立会外分売の申込みができなくなる等、制限が生じます。」ということでこれらを利用したいかたは契約し辛いのが難点ですね。
トレードステーションはシストレ向けの自動発注、アルゴ注文といったトレーダー向けの高機能ツールなので、そういったスタイルの取引者向けです。フル板表示も当然の機能として備わっていますが、利用者を選びますので、そのあたりを考えて利用したいですね。
トレードステーションにしてしまうと、IPOなど申し込めないのが残念。
大御所SBI証券はツールもフル板表示も有料で無料条件適用
SBI証券は「HYPER SBI」という非常に高機能で使い勝手が良いインストール型取引ツールを用意していますが、このツール自体が有料で無料利用条件を用意しています。
取引ツール自体は無料条件に「信用取引口座」開設がありますので、それほど厳しくはないです。条件を満たすことで「HYPER SBI(1ヶ月500円税抜)」、「全板サービス(1ヶ月300円税抜)」の両方が無料になります。
表示はフル板分の全表示はされますが、合致点などをチェックするには見にくいです。有料契約となっている割には、機能が充実とは言えないのが残念かなと感じます。
まぁ、とりあえず最低限の機能は有しているので総合的にサービス力があるSBI証券ガッチリの方が使うには適しているかも知れません。
とりあえずフル板機能用意してますよレベルで、あまり力を入れてない印象。 SBI証券は総合的なサービス提供が得意分野。
証券会社 | 無料利用条件 | 特徴 | おすすめ度 |
楽天証券 | 条件なし無料 | 合致点マーク表示 | ★★★★☆ |
カブドットコム証券 | 信用取引口座または、先物オプション取引口座開設済みかつ、前月当社全取引における約定回数が1回以上ある場合 | リアルタイム株価予測 始値表示 終値表示 |
★★★☆☆ |
DMM.com証券 | 「新規口座開設後最大2ヶ月」or「信用取引口座開設」or「現物取引約定後翌月末まで」 | 始値表示 終値表示 |
★★★★☆ |
SMBC日興証券 | 「前月の約定5回以上」or「ダイレクトコースのステージがシルバー以上」 | フル板無制限 リプレイ機能 合致点表示 |
★★★☆☆ |
GMOクリック証券 | 条件なし無料 | ★★☆☆☆ | |
ライブスター証券 | 「信用口座開設」など5つあり | ★★☆☆☆ | |
マネックス証券 | トレードステーション契約 | ツールが多機能 | ★★☆☆☆ |
SBI証券 | 「信用取引口座」など | ★★☆☆☆ |
各証券会社のフル板機能や無料条件などを比較してみて、オススメするとすれば・・・
条件なしでは楽天証券がオススメで、信用口座開設を作ったら無料のDMM.com証券がみやすさなども含めて利用価値が高い印象。この2つを利用しながら、他のツールも横目に比較して使い勝手が良いものを選びたい。SMBC日興証券はブラウザ表示できて高機能でフル板を見るためにはオススメしたいが、無料利用条件が厳し目なので人を選びそう。