最近非常に盛り上がっている株式投資型クラウドファンディングですが、1号案件が無事終了した新しい業者であるイークラウドさんに直接メールインタビューできる機会があり、聞きたいことを聞いてみましたので紹介します。

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ご回答いただいたのは代表取締役の波多江直彦さんです。

[プロフィール]
慶應義塾大学法学部卒業後、サイバーエージェントに入社。広告代理部門、スマホメディア、オークション事業立ち上げ、子会社役員等を経て、サイバーエージェント・ベンチャーズで投資事業に従事。その後XTech Venturesにてパートナーとして、VR・SaaS・モビリティ・HRTech・シェアリングエコノミー・サブスクリプションサービス等への投資実行を担当。2018年7月にイークラウド株式会社を創業、代表取締役に就任。

サイバーエージェント・ベンチャーズで投資事業に注力していたということで、ベンチャー投資には非常に熟知されておられる方になります。

イークラウド

当方からの質問は、ホームページ上に載っていることを改めて聞いても仕方ないと思いますので、ホームページ上から分からなかったことや、気になったこと、初心者の投資家目線で知りたいことをぶつけてみました

「追記!」

2022年なんとイークラウドから最速イグジット案件が登場!緊急追加インタビューを行っていますので、紹介します。


Q.約9ヶ月という業界最速イグジットおめでとうございます。今回の速いイグジットにつながった要素などがあれば詳しくお聞きできればと思います。

あくまでイークラウドとしての考えですが、今回買収に至った企業様は、事業開始から買収に至るまでほぼ毎月右肩上がりの成長を続けておりましたので、主にそういった実績面が評価されたのではないかと思います。

また当初から明確にM&Aを希望されていたため、弊社でM&Aについてもお手伝いすることもできました。

Point!!

私、黒澤も上記案件には投資していました。投資時に明確にIPOではなくM&Aを目指すということが案件ページに書かれていたことを記憶しています。今回に関しては、株式投資型クラウドファンディングには珍しくシード期で今は種だけど一気に成長ではなく、スタート時から需要が高い事業でグングンと伸びていたので、速いイグジットに繋がった模様ですね。

株式投資型クラウドファンディングで少しでも速いイグジットを体験したい場合は、そういった視点で案件を見ても良いかも知れません。


Q.現在(取材時2022年5月)には全部で11件の案件が募集を終えていますが、全て成立となっており、これは他のECFプラットフォーム業の状況と比べると考えられないぐらいの素晴らしい数字です。 100%成立の秘訣なり、理由なりがあればお聞きできますでしょうか?

厳選した案件を投資家様へご紹介させていただいた結果、2022年4月末時点で100%達成という状況を作れていると考えております。

私たちの大事にしている社内の考え方として「Sustainable Growth」というものがあります。投資家様とベンチャー企業様と我々、全員の利益を適切に追求していかないと、持続的なシステムとして世の中に浸透しないと考えています。

今後中長期でECFを成長させていただくために、投資家様にもベンチャー企業様にも満足していただける案件を1つでも多く出していきたいと考えております。

Point!!

この点は私も2年ほど見てきて強く感じる部分で、イークラウドの特色はベンチャー企業との二人三脚な部分が強いということですね。繋がりを強くする分、多くの案件を出せないのかも知れませんが、出る案件全てが何かしら魅力的な部分があると同時に、投資後もイークラウドがしっかりサポートしてくれるイメージがあります。

他社ではベンチャー企業さんがECFプラットフォームを鞍替えして2回目の募集などの事例が散見され始めていますが、イークラウドではそういったことは考えにくいぐらいベンチャー企業とイークラウドさんが共に成長を目指している印象です。そこに私達、投資家も加えて三方良しの中長期の成長を考えてくれていそうですね。

この事に関しては次の質問で少し詳しく聞いてみました。


Q.私が見ていてイークラウドさんの特徴として感じるのが、案件として出てくる企業と非常に仲がいいというか、募集成立が終わった後も、継続した良好なサポート関係が築かれていると感じます。この理由(企業体制?)があれば聞きたいのと、今後もこういった体制で案件を出してくれることを期待しています。

ありがとうございます。

案件を取り扱う際には、私たち自身が一番のファンとしてその企業を応援できるかという点も重視しています。今後も、私たちが資金調達やその後のご支援を行った結果として、ベンチャー企業様から信頼していただけるような状態を維持していきたいと思います。

Point!!

イークラウドさんは、成果に対しては控えめに謙遜している雰囲気を感じますね。派手にアピールしない分、投資家側からは信頼できる印象も持っています。

なお、私はイグジット案件に出資していたので他の出資者のリストも確認できたのですが、その中に波多江さんの名前も載っていました。プラットフォーム業者側は出資者の募集が終わってまだ投資の枠があるなら出資でききるようですが、同じ船に乗っていると感じられたのも好感です。

イークラウド

業界最速イグジットを出して、注目度が更に高まるイークラウドです。厳選された案件はどれも興味深いのでオススメです。

下記からは2020年にインタビューしたものです。


Q.大和証券グループとの連携があることで他の株式投資型クラウドファンディング業者とはどういった点で優位性があるでしょうか?

株式投資型クラウドファンディングで取り上げられる問題の一つに、株主属性の問題(既存株主に反社会的勢力等好ましく無い株主が混在するリスクが上がることで、その後の資本政策やIPOの弊害になる)がありますが、イークラウドでは民間企業でデータベースを提供している会社での確認に加え、大和証券グループの専用データベースを活用しチェックを行うことで、そういったリスクを徹底的に下げています。

Point!!

大和証券グループのデータベースがあることで、安心感のアップに繋がるということになるみたいです。個人的には例えば投資先の会社がいよいよIPOとなるときに大和証券さんを主幹事選定して上場準備するにあたって、大和証券さんがIPOに向けて準備が進めやすい(すでに投資家の属性問題が分かっているため)というメリットも有るのではないかと思いました。

ホームページ上では個人投資家が安心して利用できるとアピールしていますが、イークラウドさんにとっても逆に安心してサービス展開できるというメリットがありそうです。


・得意とする業種などはあるのでしょうか?

ecrowd_interview3プラットフォームとしては、当面特定の領域には絞り込まず、投資家の皆様へ多様なベンチャー企業への投資機会を提供したいと考えています。 既存の投資家の方は、特にAI(人工知能)・DX(デジタルトランスフォーメーション)・ヘルスケアなどの領域に対する関心が強いようです。そういった声にもお応えできるよう、案件の発掘・選定を行っていきたいと思います。

Point!!

この質問は私は例えばある業者ではフードサービスに強みがあるなど感じられたりすることがあったので聞いてみました。イークラウドさんとしては業種業態を絞ることは、新しいビジネスの醸成にとっては良くないことと思っているかもしれません。ただ、投資家の関心の高い分野というのはしっかりと抑えているみたいですし、今後も関心の高い分野での案件発掘が期待できます。


・株式投資型クラウドファンディングとしては後発としてサービスを開始していることで、すでにサービス展開しているところに対して何かしら優位性のあるサービス内容等あるでしょうか?

株式投資型クラウドファンディングの事業に参入するにあたっては、多くの起業家や法律の専門家、ベンチャーキャピタルなどにも相談を行い、懸念事項のヒアリングを行いました。

そのヒアリングの中で多くの方が懸念していたこととして、「イグジット時の支障になる可能性」がありました。 例えば、M&Aなどによるイグジットの場合、買い手側は100%買収を希望すること多いですが、既存株主のうち一人でも拒否した場合には手続きが煩雑になるため、M&Aが破談となることがあります。そのようなことが発生してしまうと、起業家の資金調達や成長を支援するはずの株式投資型クラウドファンディングが障害になってしまう可能性すらあり、他の多くの投資家のためにもなりません。

そこでイークラウドでは、投資家の方々に、お申込みの前に全株主との株主間契約を締結していただくことで、そのような状況にスピーディーに対応できるようにしています。

Point!!

後発ということで、これまでの懸念事項のヒアリングがしっかり出来ていることが強みの一つだと思います。一例として挙げていただいた「イグジット時の支障懸念」は、今までの気になる部分を前もって手を打っておこうという対策です。しっかりとイグジットまでを見据えてサービスをスタートさせていることにも好感が持てます。


・その他、他社(ファンディーノ、ユニコーンなど)にはない魅力的な部分があればアピール願いたいと思います。

ecrowd_interview2 イークラウドの特徴は「プロが厳選したベンチャー企業に投資できる」という点です。 プラットフォームとして、財務・法務・ビジネスのリスクを徹底的に洗い出すことはもちろんですが、それらに加え、投資家の目線でイグジットを経てそのリスクに見合った利益をもたらす可能性がありそうか、株式投資型クラウドファンディングの後の資本政策の妥当性・信頼性はあるかなど、これまで多くのベンチャーをサポートしてきたVC経験者などを中心に精査を行い、資金調達が成功しそうかそうでないかではなく、投資対象にすべきかどうかという点を重視して案件の選定を行っています。 現時点では、多くの投資機会を提供できず、心苦しいところはありますが、1件1件着実に信頼・実績を積み上げていきたいと考えております。

Point!!

敢えて他社名を具体的に挙げて差別化でアピールできる部分を聞いてみました。「案件成立目線」ではなく「投資対象としての魅力目線」で案件選定を行っているところが大きな差別化できる部分と思われます。そのため、出てくる案件数は他社よりも少ないものかもしれません。でも、本来であればイークラウドさんにとっても多くの案件を出して成立させて手数料を稼ぐビジネスのところを、1つ1つ手間を掛けて実績を積み上げていこうという覚悟を感じます。

私達、個人投資家目線でみれば「イークラウドは案件数こそ少ないけれど、1つ1つの案件は魅力的に感じる」といったサービスに映るかもしれません。

イークラウド


・2号案件のスタート予定は?今後どのようなペースで案件が出てきそうか?

2号案件は10月か11月頃を予定しています。 今は案件数を重視するのではなく、「厳選」にこだわりながら案件を出していきたいと思っております。半年後にはコンスタントに月数件出せるような状態を目指していきたいと考えております。

Point!!

まだまだイークラウドさんの1号案件が終わった時点で質問したので、とにかく1つ1つの案件の質重視でサービス展開をしばらく続けていく事になりそうです。より案件を絞って出してくれたほうが、私達も投資対象の検討として魅力を感じることが出来ますので良いと思います。業界勢力図的には成立案件数や調達総額などが注目されがちかもしれませんが、個人的には着実に良い案件を出すような業者さんになって欲しいと思っています。


「インタビュー後記」

今回はコロナ禍ということもありメールベースでのインタビューとなりましたが、ホームページ上からでは良さが分からない、特徴が分かりづらいと素直に素人目線で感じた部分を中心に質問を投げかけてみました。

イークラウドは2020年の夏にようやく1号案件が無事に終了したこれからの株式投資型クラウドファンディング業者です。一つ一つの案件を魅力的なものを用意することで着実に事業として伸ばしていきたいと考えているでしょう。

先行する業者の状況をみて対策しながら事業を進められる強みを活かして、私達、個人投資家にとって魅力ある案件やサービスを提供していただけるように期待しています。

イークラウド

私は1号案件の「地元カンパニー」は1号案件というのもあり投資経験を積みたいことから投資参加しています。地元カンパニーからの御礼のメッセージであったり、イークラウド企画の株主ミートアップなど投資家目線でのサービス重視というのは感じています。是非とも、着実に実績を積み重ねて人気のサービスになって欲しいですね。