2018年から新しい少額投資非課税制度「つみたてNISA(積立NISA)」が始まります。口座の開設は2017年10月から可能で、現在各証券会社が商品のラインナップなどを発表しているところです。
まずは新しいNISA制度「つみたてNISA」の特徴を紹介します。「つみたて」を平仮名にしているのはやりやすそうなイメージにしているんでしょうが、特徴自体は一通り調べないと理解できない部分も多いです。
つみたてNISAの特徴は大体4つでまとめられます。(年間40万・最長20年・積立投資限定・投資商品限定)と4つ覚えればいいでしょう。
ポイント1.つみたてNISA口座内は運用利益非課税、年間購入可能額は40万円まで
一つ目のポイントは非課税という税制優遇です。これは他のNISA(比較の意味で一般NISAやジュニアNISA)と同じです。株や投資信託などで利益が出ると概ね20%程度の税金がかかりますが、これが非課税になる制度です。
NISAに関してはまずは非課税枠が活かせるかを考えることが重要になります。
つみたてNISAは年間で40万までと非課税投資枠は他のNISAに比べて少ないのも特徴です。(NISAは120万、ジュニアNISAは80万)。
年間40万ということで他のNISAに比べて少ないと感じる人も多いかもしれませんが、つみたてNISAの考え自体が少額から毎月コツコツ積み立てる長期での資産形成を推進する制度です。月3万程度の積立を考えたらちょうどいい非課税枠ではないでしょうか?
現在の通常NISAは非課税枠が120万ですが、期間は最長5年間(10年まで延長できる)ことを考えるとやや短期的に非課税枠を活かす場合に向いています。本来のNISAは少額投資非課税制度ですので、つみたてNISAの方が設計上はあっていると感じます。
なお、他のNISA制度と同様、非課税枠の繰越などは出来ませんので注意が必要です。
ポイント2.非課税期間は20年
現行NISAは5年の非課税期間と申し訳ないけど、中途半端感がありました。それに比べて20年の長期となると制度を利用してうまく運用したいと感じるようになります。
欲を言えば非課税期間撤廃ぐらいの勢いも欲しかったですが、20年でも人生のライフプランではまとまった金額を作る上では使える期間だと思います。また20年であれば長期運用投資といえますね。
なお、投資したものが非課税期間終了時には「課税口座(特定口座や一般口座)」へ払い出しとなります。そこまでの運用益などは非課税で、そこからの運用益には課税ということになりますね。
ポイント3.投資方法は定期的に一定金額を購入する積立形式
特徴の一つが名称にもなっている「積立投資」ということです。積立形式なので「毎月一定金額」を購入します。購入金額や積立回数は設定により変わってきますが、最大でおおよそ月33,000円程度、決めた投資信託を購入し続けることになります。
ネット証券では毎月ではなくて毎日や毎週などかんたんに設定変更しやすいので、基本的には始めたものを変えるようなものではないですが柔軟性はありますね。
積立購入は思っている以上に忍耐力がいりますので、つみたてNISA分は非課税枠の恩恵があるのだから頑張ってみるといった長期的な視野が必要になります。投資総額は最大で800万まで非課税枠で運用となれば、投資信託で運用するなら使ってみようという気にはなりますね。
ポイント4.投資対象はかなり絞られている(投資信託に限定)
つみたてNISAの大きな特徴の一つが、投資対象がかなり絞られているという点です。良く言えば「選びやすい」、悪く言えば「投資対象が選べない」となります。
まず、投資対象は投資信託(ETF含む)になりますので、通常の株取引などは選べません。
また投資信託でもつみたてNISAでの運用に適していると認められた要件を満たしたものだけになります。
共通の要件として
- 信託期間が無期限または20年以上。
- 分配金の頻度が1か月以下の期間で設定されていないこと
- デリバティブ取引による運用が行われてないこと(ヘッジ目的の場合を除く)
- 投資家に信託報酬等の概算値が通知されること → コストの明確化
- 金融庁に「つみたてNISA」の対象商品として届出を行っていること
これらの要件に含め、投資信託によってさらに要件があります。
概ね方向性としては、手数料が安く明確になっていること、長期運用に耐えれるような設定になっているかというところでしょう。
絞られているといってもアクティブ投信などもラインナップには入ってます。考え方としては非課税枠を無視してでも自分で個別株に投資したほうがパフォーマンス出せるという人は魅力に欠けますが、投資初心者の方で投資する・しないなら投資して運用益出せる方に回しておきたいというなら、まずは活用したい制度になると言った印象です。
今後も株買いたいならNISA、投資信託も気になっているならつみたてNISAと考えると分かりやすいかもしれません。
まとめとして、現行NISAとジュニアNISA、つみたてNISAの3つの比較表で整理していましょう。
つみたてNISA | 現行NISA(2018年~) | ジュニアNISA | |
対象者 | 20歳以上 | 20歳以上 | 0~19歳 |
金融機関変更 | 可能 | 可能 | 不可 |
年間非課税枠 | 40万 | 120万 | 80万 |
非課税期間 | 最長20年 | 最長5年 | 最長5年 |
ロールオーバー | 不可 | 可能 | 可能 |
口座開設期間 | 2037年まで | 2023年まで | 2023年まで |
払い出し制限 | — | — | 18歳まで不可 |
投資方法制限 | 定期的・継続的な方法 | — | — |
投資対象 | 要件を満たした投資信託 | 上場株式等 | 上場株式等 |
最大非課税投資額 | 800万(40万x20年) | 600万(120万x5年) | 400万(80万x5年) |
とりあえずNISA口座を開設して、利用するかしないか(枠を使うか使わないか)は判断できますが、重要なことの一つとして「現行NISA」と「つみたてNISA」はどちらか一つしか利用できません。
なお、現行NISAは2023年で終了予定ですので、今のNISA制度で株などで利益を出せて税金で得をしている方にとってはNISAが良いでしょうし、やはり投資信託は嫌で、自分で個別株買ったほうがパフォーマンスをだせるという方は現行NISAが良いかもしれません。思うのは「つみたてNISA」に移行するなら、長期積立の覚悟は必要だと思います。
ただ、その覚悟を手助けするために数ある投資信託から1%程度まで絞ってくれていますし、なかなかやろうと思っても出来ない長期積立運用が、非課税という絶対的な有利な状況で可能なわけですし、できれば使いたい制度という印象です。
もう一つ現行NISAの口座を持っているけど、全然活用できていないという方は積立NISAに移行して、有無を言わさず余剰資金を積み立てておくとすれば、制度活用の道が拓ける気がしています。
ジュニアNISAやiDeCoのような年金的な運用のように払い出しに制限がないのも特徴で、どうしても気が変わったり、この制度を使わなくても魅力的な投資先が出来たなど状況に応じて対応することも可能です。
今まで投資したことがない人が少額投資してみるという状況には、非常にいい制度だと思いますが、どこがうまく伝わるのか?微妙なところもありますね。
別のページでは投資商品のラインナップ状況や、取扱口座の比較もしてみたいと思います。