Ｈｍｃｏｍｍ(265A)のIPO新規上場情報

音声認識に特化したAIソリューション業。コンタクトセンター業務での活用や、会議の議事録作成、異音検知サービスなどプロダクトが複数あり、活用の幅が広い。

数期前に黒字化、成長率はいまいちなものの期待感だけで上場してしまうAI企業に比べると、すでに黒字でサービス導入が進んでいるのは見どころか？

価格設定は期待感で上場して数年経っているAI系企業と同レベルで、価格設定に納得感を感じる。

10月はIPOが増えているのが気になるが、優良IPOとして認識されそう。

１．注目度…全般的なＩＰＯとしての注目

注目度の高いAI系企業。その中でも特に「音・音声」解析技術を得意とする。
IPOでAIを扱っていれば何でも良い時代は終わったが、それでも分野的にはまだまだ人気。

上場日は10月終盤の単独上場。
大型IPOも終わり週替りの小型IPOということで悪くないタイミングと言えそう。

２．割安性…ＰＥＲ，ＰＢＲなど財務情報、価格設定から

2024年12月度、単体予想EPSは33.77。
想定価格850円から計算される予想PERは約25.17倍。

黒字化後、業種にしては低成長ということで、やや控えめな価格設定。
下手に盛り込まれてないのは好感され買いやすいイメージ。

３．規模…吸収金額と市場、売り圧力関係

吸収金額は約8.9億（想定価格ベースOA分含む）の小型IPO。
上場市場は東証グロース市場。主幹事はSMBC日興証券。また幹事も1社。

売出株式比率78.2%と売出が多い。オファリング・レシオは高めの標準範囲。
ベンチャーキャピタルの保有もやや多めで、放出もそれなり。
それよりも全株式を放出する法人も多いことから、上場時イグジット感は持たれやすいか？

ロックアップのカバー率は100％だが、VCには1.5倍（1,275円）で解除となる要件があるので、
1.5倍価格は警戒感が強くなる。売出が多いことから、ロックアップ解除されると先んじて売られる可能性も。

ストック・オプションの未行使残は行使価格が1,050円、2,000円と高いものも多い。
一番株数が多いのは400円で156,000株ということで、この程度の売り圧力は見ておきたい。

小粒IPOということで初値に対する需給面は問題なさそう。
需給一致はやはりロックアップ解除の1.5倍付近が気になるポイントか？

 ４．業種…人気化しそうな業種か？魅力があるかなど

IPOでAIは人気の高い分野。こちらはすでに数期黒字で実績があるのは魅力のある部分。
ただし成長性を感じないところはAIの儲けに対する実力が露呈しているのか？まだまだこれから伸び代が潜在するのか？

「音」に特化しているのは面白い部分で、今後もAI一言で片付けずに、AIプラス何か強みを持っておきたい。
現時点でAIで音声に強い技術を持つ企業が上場企業になるのは、一つ抜け出した強みと言えそう。

５．評価…総合的評価や特記的事項を含める

グロース・小粒・AI系ということで初値上昇要件の揃っている銘柄でB級評価とする。
上場時で成長性に疑問があるのか？少しイグジットっぽさや弱気な価格設定は気になるところ。
また幹事証券が1社というのも珍しい。

それでも厚い壁となりそうなロックアップ解除価格1.5倍（1,275円）までは余裕がありそうな需給模様。
1.5倍の壁に関しては上場日のIPO地合い次第か？

地合いが良ければ1.5倍を超えて上値追いのポテンシャルは持っていそう。
大型IPOが終わりスッキリしているところでの小型IPOなので、激しい動きには期待できる。

全体考察
総合得点は7点で、私のBBスタンスはB評価です