トライト(9164)のIPO新規上場情報

売出しについては国内売出株式数 21,600,000 株及び海外売出株式数 18,400,000 株を目処に行われる予定

医療介護系の人材派遣業が吸収・合併。高シェアの強者の戦略となっている。ファンドによる売出IPO。

業績推移のグラフは順調に見えるが注釈多く実態が見えない。事業的に今後、高収益が望めて財務改善を本当に図れるのかは注意。

IPO人気が続いていても、この売出IPOに人気が集まるとは思いづらく初期はパス評価。大手レポートの雰囲気を掴んでBBスタンスを決めたいところ。

１．注目度…全般的なＩＰＯとしての注目

主に医療福祉関係が多い人材派遣業。M&Aなど積極的、シェアNo.1、No.2など強者の戦い。
注目度的には新規性には欠けるところだが、需要はそれなりと言った分野。

上場日は前後にIPOは続くものの単独上場。
主幹事の手腕が問われるIPOになりそう。

２．割安性…ＰＥＲ，ＰＢＲなど財務情報、価格設定から

2023年12月度、連結予想EPSは43.09。
想定価格1,620円から計算される予想PERは約37.6倍。

想定価格は成長期待で割高に感じていたが仮条件を大幅引き下げしてきた。
仮条件1,100～1,300円。海外販売もあるのでこれでしっかり需要を掴めるかどうか？

仮条件大幅引き下げは、ここ最近のIPOでは初値は頑張っているものが多いものの
判断が非常に難解になる。

３．規模…吸収金額と市場、売り圧力関係

吸収金額は約745億円（想定価格ベースOA分含む）の大型IPO。
上場市場は東証グロース市場。主幹事はSMBC日興証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の共同主幹事。

グロースで公募0と意味の不透明な50,000株すら公募しない、売出オンリーIPO。
売出元はこの分野を吸収合併してまとめてきたファンドが4割放出。
オファリングレシオも高めの水準。

大量売出後もファンドは6割保有。ロックアップは180日。
ストック・オプションの未行使残は400円価格で約300万株。こちらは継続所有の条件あり。
上場後の追加売圧は一旦なし。

700億規模の吸収金額は2023年で2番目に大きい。
普通に考えれば需給面はかなり厳しいというのが妥当。

なお、半分弱は海外販売に回る。

４．業種…人気化しそうな業種か？魅力があるかなど

医療関係の人材派遣業は根強い需要があることで、ポータルサイトがたくさんしのぎを削っていたが、
ここのようなNo.１戦略が吸収合併をすることで、一人勝ちを狙っている模様。
高シェアを獲得していることで高い収益構造にはなっているのは魅力。

一方で吸収合併を繰り返したことによる弊害も大きく、今回の上場もファンドの規模感大きい売出。
規模感の大きさに見合った需要があるか？が疑問になる部分。株価との相談になりそう。

５．評価…総合的評価や特記的事項を含める

仮条件発表までは基本パス案件にしようとしていて第一印象の評価もDにしていた。
そこに仮条件が1,620（想定）→1,100～1,300円と大幅引き下げ、売出株に価格の魅力を付けて販売。
想定価格に割安感がなかったため、この引き下げが見た目ほど魅力ではない点は注意。

結局、仮条件を引き下げて決まった売出価格が上場時では妥当価格と判断されそうで、
初値は売出し価格付近が妥当なイーブンな状態。単純にスタートラインを低くした分だけメリットが付いたか？

2023年からIPOはイケイケ状態が続いているが、そろそろ怪しくなっていて選別色は出ている。
微妙案件は初値プラス・マイナスはほぼ運によりそうな状況と見ておきたい。

微妙IPOも全部参加して、全体を通して微妙に儲かれば良い。
参加する楽しさも味わいたい、当選アディクトな方は微妙全部参加、妙味のないものは面倒なのでパスな方はパスでいいだろう。

全体考察
総合得点は4点で、私のBBスタンスはC評価です