キオクシアホールディングス(6600)のIPO新規上場情報

売出しについては国内売出株式数9,108,500 株及び海外売出株式数56,960,400 株を目処に行われる予定。オーバーアロットメントによる売出しについては、国内2,760,400 株及び海外5,126,500 株を上限として行われる場合があります。（公募売出総数の海外分65％程度と海外多め）

元東芝メモリ、日米韓連合ファンド（名目上はベインキャピタル）のイグジット現金化イベント。

現時点で業績の成長見込みはあまり感じない。メモリ事業は今後も需要の伸びはありそうなので、そこに再び技術力で勝負できるか？

大型で初値厳しい銘柄で参加を避ける人が多そう。ただ値ガサだが、そこまで酷い高値値付けには見えない。

海外意向が仮条件に多分に含まれそうで、その価格設定次第。いずれにしても初値は公募付近になりやすい。

１．注目度…全般的なＩＰＯとしての注目

2020年最大規模のIPO。実質東芝メモリ（東芝からファンドへ売却）の上場。
ベインキャピタルの売出IPO（公募株も4分の1程度あり）

注目度は非常に高いが、厳しい目線も多いことは事実。
10月IPO最大の注目となるのは間違いないだろう。

２．割安性…ＰＥＲ，ＰＢＲなど財務情報、価格設定から

2021年3月度、連結予想EPSは-11.59円で赤字予想。

想定価格3,960円から計算される予想PERは約27.04倍。
この規模の会社が赤字予想のまま、上場を認められるのが疑問。

仮条件は大幅減額で2,800～3,500円。とはいっても赤字予想なわけで、
単純に価格設定の妥当性は全く無い。元値高いのに割引率で安く見せる商売に見える。

３．規模…吸収金額と市場、売り圧力関係

吸収金額は約3,782億円（想定価格ベースOA分含む）の大型IPO。
上場市場は東証1部市場予定。主幹事は野村證券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の共同主幹事。

公募１：売出４程度で公募株もあり。グローバルオファリングで海外分の割合が高い。
基本的にはベインキャピタルの現金化イベントと考えたい。
さらに上場後もベインキャピタルの保有株式は相当数残るため、先々の売り圧力も大きい。
（少しでも高い株価で売りたい思惑はあるだろうが、そう簡単に行くものか？）

ストック・オプションも1400万弱ほどあり、こちらも上場後の先々の売り圧力としてみておきたい。

やはり東芝の後始末イベント的な印象は否めない。
特にメモリ事業の技術に魅力を感じなければ買う人は少ないと考えると需給は厳しいか？

売りは目に見えて多く、買いは欲しがる人が見えない。

４．業種…人気化しそうな業種か？魅力があるかなど

東芝の虎の子技術とも言われたメモリ事業。しかし現時点での世界シェアは2位でサムソンに負けている。
メモリ技術の中では新しいものも出ているようだが、大きなムーブメント的なメモリ需要は感じない。

上場の仕方がファンドの現金化イベントと見られてしまうのも難点で、買い方の姿の見えないが厳しい。
業種的にも半導体の再生IPOといえばJDI（ジャパンディスプレイ）を連想するところがあり苦しい。

５．評価…総合的評価や特記的事項を含める

過去のIPOを振り返ってもファンドの売出IPO（現金化イベント）は初値苦戦が続く。
特段の理由がない限りは参加を避けるのが懸命という判断になりそう。

業種的に2014年上場のジャパンディスプレイを連想する人も多いかもしれない。
（参考値：想定1100円、仮条件900～1100円、公募900円、初値769円、現在値60円付近、公開時吸収3347億）

ブックビル前の売出系IPO雪国まいたけが公募割れとなったこともマインド低下。
証券会社が捌くのが大変になっているのも仮条件設定大幅割引から分かるのではないか？

グローバルオファリングで海外分が多く、海外意向も価格に反映されそうで、
仮条件の下限の2,800円スタートで、なんとか公募付近で上場シナリオも予想される。

全体考察
総合得点は3点で、私のBBスタンスはD評価です