不動産投資信託(REIT)は、上場すれば通常の株と同じような買い方が出来るので新規公開時に同じように当方でも取り扱っていますが、投資スタイルや考え方は少し変えていかないといけないので紹介します。

REITIPOに関して

ますはREITとは何なのか?を見てBBスタンスの決め方や投資スタンスが、通常のIPOとは少し変えてみた方が良いことを解説します。

ますは、REITの仕組みとは?

不動産投資信託(REIT)とは、多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。投資信託の仲間なので、上場しているものではETF(こちらは株価指数や商品など)に似ているかもしれません。

REITは「Real Estate Investment Trust」の訳です。Real Estateとということで不動産に特化しているという特徴があります。

REITの上場市場

日本にあるREITの上場市場は東証のREIT市場です。国内株式と同じように証券コードが割り振られていて、株と同じように売買ができます。その為、REITにも新規上場(IPO)という言葉が出てきます。

株ではなく投資口とか、配当ではなく分配金(投資信託なので)といった細かい部分では違いがありますが、殆ど株と同じように取引できると考えていいでしょう。

REITは初値高騰は期待できない

まずREITのIPOで注意したいのは、通常の個別株の新規上場と違い初値高騰は期待しにくい点です。通常の個別株のIPOで初値が高騰するのは、成長が期待される銘柄が、需給バランスが崩れていている時です。REITに関してはその殆どが長期安定的に高い利回りを目指すことを目標としています。

その為、簿価が急激に上がるといった変化も起きにくいので(不動産バブルがあれば、需要が増えて騰がるかもしれませんが)、上場地点ではほぼ若干のIPOプレミアムディスカウントがあれば良い程度でしょう。

正直なところ初値では公募価格~10%高ぐらいのリターンが得られれば良いところです。

また、スポンサー力が弱いリートだと過去に上場しているリートに比べて人気が集まらず公開価格割れの可能性も高いです。スポンサー力が弱い場合は高利回りなどを見せて需要を喚起しようとしますが、通貨の高金利通貨とにていて、価値が下がるリスクが高く人気がない場合が多いです。

さらにリートは吸収金額が大きく数百億規模の募集がざらにあります。REIT-IPOの攻め方としては、通常のIPOのような一単位でも高収益というよりかは、複数単位を手にして小さなリターンを増やせるかです。

その為、複数単位を前提とすれば、ミドルリスク・ミドルリターンだと思います。1単位レベルだと低リスク低リターンでIPOの醍醐味とは少しズレると考えたほうが良いでしょう。

REITのBBスタンスの決め方

REITのBBスタンスも通常のIPOとはみるところが変わってきます。投資対象は不動産ですので、その中での違いぐらいしかありません。気になるところは「鑑定NOI利回り」「物件のポートフォリオ」「スポンサー力」あたりでしょう。

・鑑定NOI利回り

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(さくら総合リート投資法人の目論見書から)

REITのIPOの時に目論見書を読むとNOI鑑定利回りというものが載っています。大事な部分なので、目論見書でもまとめて最初の方に載せていますので必ず確認したいところです。

NOI利回りとは・・・NOI(Net Operating Income)で純収益です。不動産では減価償却費や修繕費などがありますが、こういったものを入れずに純粋な収益額が出ます。その為、償却後の鑑定NOI利回りは低くなっていきます。単年度の単純な投資利回りとして目安にするといいでしょう。

気になるのがやはり鑑定という部分なので、どれほど当てにして良いのか?は主幹事の証券会社やスポンサー力などにもかかってくるのではないでしょうか?

ただ、もちろん利回りは高いに越したことはありません。

NOI利回りは不動産投資によく用いられる単語ですので知っておくと損はないでしょう。不動産投資の本には「NOI利回りを20%で考えよう!」とかどこにそんな物件あんねん!的な内容が書かれていたりします。

・物件のポートフォリオ

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(さくら総合リート投資法人の目論見書から)

目論見書には当初取得予定の物件ポートフォリオが載っています。見るべき点は物件の立地(首都圏、都市圏、地方など)用途(オフィスビル・商業施設・住宅・その他施設)あたりでしょうか?

状況にもよりますが立地はやはり首都圏の方が好立地です。地方分権なども騒がれていますが、実態は地方は疲弊しており不動産の価値は落ちやすいという見方が多数です。その為、利回りの高さがキーポイントになりますが、それでも人気がないと初値的には厳しくなります。

用途はもともと限定したREITも多いです。通常リートは単一用途型リートと複数用途型リートに別れます。複数用途型リートの総合型リートはなんでもありで用途を限定しません(オフィスビル・商業施設・住宅を含みます。)単一型では住居特化のレジリート、オフィスビルリート、物流施設リート(ロジスティクス)、ホテル特化型など様々なものがあります。比較的新しいものではヘルスケアリートといった変わり種も出てきます。

用途の場合は特異性があったり、新規性が高いほうが需要が高いですので、単一用途で目新しいものかをチェックすると良さそうです。

※REITは頻繁に公募増資をしますが、その場合も決められた用途に対して物件を増やしていきます。

・スポンサー力

REITの評価に関してはスポンサー力が大きな要因を占めているかもしれません。というのもリートの特性上、出資した分だけ決められて運用するため、その後の運用力はスポンサー力が物を言うからです。

スポンサーはリートの名称にもなりますので、すぐに確認ができます。逆に聞いたことのないような冠があった場合はスポンサー力に不安を感じたほうが良いかもしれません。リートに関しては外資系の不動産投資運用会社も多いので、一般に知られてないものの場合はインターネットなのでチェックしたいですね。

またスポンサー力が弱い傾向のところは「愛称」「物件特徴」などでごまかそうという雰囲気もありますので、そのあたりも面白半分で見るといいでしょう。

 

おおよそ上記の3つの視点からBBスタンスを見めるといいでしょう。

どれも重要ですが、安定的な投資先という見方では、重要度的にはポートフォリオ>スポンサー力>利回りかもしれません。利回りという表面的なお得感だけで飛びつかないというのが注意点でしょうか?

過去のREITの上場結果や東証REIT指数が参考に

REITに関しては過去の成績と東証REIT指数というものが、上場時のデータ分析として参考になります。過去の成績はスポンサー力を見るのに良いですし、リート指数は現状の投資需要を測れます。

当サイトでもリートに絞って分析ができます。
【IPO結果一覧】上昇率、損益、その後の値動きなどチェックに(分析版)

結果を見て頂ければ分かると思いますが、リートは決して初値の勝率は高くありません。6割ぐらいで初値プラスとなっていて、通常のIPOに比べてると厳しい結果です。

ただし、上記分析で現在値の差分も見ていただくと良いと思いますが、長期的に株価が安定しているともいえます。分配金利回りも良いので、長期投資としては良い投資先という見方もできます。また長期投資としてまたスポンサー力が物を言いますので、やはりスポンサーは重要な評価項目です。

運悪く公開時に手に入れたものが、公開価格割れとなってしまってもしばらくは我慢してみるといった気の持ち方も重要です。

もう一つ、上場時の地合いを見る上で使えるのが東証REIT指数です。

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日本の株価指数状況一覧 (チャートは2010年頃から2016年あたりの推移)

日本のリート市場(J-REIT)は2001年に始まりました。その後、紆余曲折はあるかと思いますがその中でも、地合いは東証リート指数が重視されます。特に初値で見るとリート指数の状況もそうですが、市場全体の需要も少しは考えていきたいところです。(REITの上場は、多額の需要が必要なため、あまり他の投資と被らない時期に上場することが多いと思います。)

リート上場の時に過去の同系列のスポンサーや用途のリートとの比較、そして東証リート指数で地合いチェックするとBBスタンスが固まりやすいです。

2016年スタートのインフラファンドも同じ見方ができる

2016年6月に東証インフラファンドにタカラレーベン・インフラ投資法人が第一号として上場しました。インフラということでリートとは違い投資対象が「インフラ」になります。

制度的にはかなりREITに似ているので、同じような見方ができます。

「インフラ」ですので電気・石油・ガスといったエネルギー関連や、社会的資本として学校・病院といったものも可能性とは出てきます。もちろんインフラですので社会基盤となる水道・道路・橋・鉄道・空港などもありますが、これらが投資対象としてファンド化して利益を出せるかは謎です。どちらかと言うと投資リスクを出資者に押し付ける形にならないものがいいですね。

分かりやすいのは太陽光発電や、風力発電、地熱発電など新電力への投資でしょうか?それらも基本的には不動産と似たような部分がありますので、REITの知識が多少あれば容易に比較してチェックしやすいと思います。

 

以上がREIT-IPOに関する見方になります。通常の株のIPOとは少し視点を変えて取り組むと良い結果が生まれそうです。特にアセットとしては、他のものとの相関性が低く、ポートフォリオに組み込みやすいかもしれません。

最近では投資口優待を出すREITもありますので面白いですね(星野リゾート、イオンリートなど)。