株を持っていると、株主優待制度がある会社では商品券や割引券、
自社関連商品のプレゼントなど株主に嬉しいサービスを受けられます。
株主優待をゲットするためには株主になる必要がありますが、最初に述べたように株価の値下げにより株主優待以上の損をしてしまうというリスクがあります。
その株価の値下がりリスクを回避して取引手数料だけで、株主優待をゲットしようというのが株主優待タダ取り法です。
この方法を一言でまとめますと、優待の権利付き最終日に現物の買いと、信用取引の売りを同時に同量立てることにより株価の影響をなくして、株主優待の権利だけを取ります。 (売りと買いを同時に行うことからクロス取引とも呼ばれています)
一言では分からない部分もあると思います。
また通常の信用取引の売りでは逆日歩と呼ばれる貸付手数料というものがあり、
この逆日歩が1つの手数料リスクになります。
反対にみれば、逆日歩をしっかり抑えていれば確実においしい思いができます。
まずは具体的な仕組みと方法を見ていきましょう。
株主優待をゲットするには?
株主優待をゲットするには「権利確定日」「配当基準日」 に株主であれば良いです。
つまりその日1日でも株主になって株主名簿に載っていれば、株主優待の権利がゲットできることになります。
(優待制度の基準に、持ち続けることが条件という場合もあるから注意!)
96ut.com株主優待ページの株主優待日程リスト・逆日歩併記にて主な優待権利日、日程を載せています。
各企業によって権利確定日は「3月末」「9月末」など異なっていて、
権利確定日に株主になっていることが優待をもらえる条件です。
優待でディズニーランドのチケットが手に入るオリエンタルランドを見てみましょう。
オリエンタルランドは3月末と9月末に権利確定日があるから1年に2回チャンスがあります。
権利確定日の1つは3月末日となっています。
ではあ3月31日に株を証券会社で購入すればいいのかというと、注意が必要です。
株主として名簿に記載される為には、株を購入後3営業日の期間が必要です。ですので、確定日でなくその少し前に購入しておく必要があります。その購入すべき日というのを権利付き最終日といいます。
先ほど紹介しました株主優待日程リスト・逆日歩併記に、権利付き最終日の欄があることに気が付いた人もいるでしょう。2012年の3月末優待では、実際には3月27日が権利付き最終日で、27日に現物の株を持っていることが条件となります。
つまり27日に株を買って持っておけば、翌日28日に売っても優待と配当はもらえます。
じゃあ、権利付最終日に買って次の日に売ればいいのでは?
確かにその通りです。
でも実はそのように考える人が多いから「権利付最終日」の翌営業日は、
株価が下落してしまうことが多いのが実情です。
逆に、権利落ちを狙って仕掛ける投資家もいるくらいなので
値下がりリスクを考えると、そのままでは低リスクな方法とはいえません。
少し詳しい参考例を挙げます。
権利付最終日に500円の株価というA株があるとして
100株で株主優待として3,000円の価値の商品券が手に入るとしましょう。
権利落ちの翌営業日に420円という値段でしか売れないようになっていたら?
買値が500 X 100 = 50,000円
売値が420 X 100 = 42,000円
42,000円-50,000円=▲8,000円
8,000円の損失となり、3,000円の商品券を得ようとして
逆に5,000円も損する結果となってしまいます。
必ずしもこうなるとは限りませんが、やはりこういったリスクがあると単純に権利付き最終日に買って翌日に売って株主優待を得るという方法はリスクが低いとはいえません。
そこで出てくるのがクロス取引という方法です!(ようやく出てきました)
株主優待タダ取り(クロス取引)の仕組み
株価の下落リスクを回避する方法としてクロス取引というものがあります。
それは信用取引を利用して買った現物株と同数の売りを行うことです。
いわゆるヘッジという考え方とも取れますが、具体的に見てみましょう。
まず信用取引の一つの仕組みとして空売りというものを紹介します。
空売りというのは証券会社などから株を借りて、最初に売りから取引することが出来る方法で、
株価が下がりそうだと思うときに空売りして下がってから買い戻せば差益を得ることが出来る方法です。
先ほどの80円下がったA株の例を見てみよう。
現物の株取引は、先ほどと同じく8,000円の損失。
では、もし同じ価格で前日に信用売りで取引していたら?
売値が50,000円ので買戻しが42,000円で8,000円の利益となります!
現物株で損失8,000円、しかし信用で利益8000円です。
つまり両方の取引で差し引き0円となります。
0円で優待と配当をゲット!これが株主優待タダ取りと呼ばれる所以です! (正式には配当はゲットできません。信用売りでは配当調整金という配当と同額の調整金を支払う必要があります。)
ここで良くわからないと問われる質問が、
「同値で株取引の売買が出来ないんじゃないの?」
というもの。
確かに取引中に、行えば微妙な値のずれが出てしまうかも知れません。
しかしながら前場や後場の取引が始まる最初の価格は
買いの数と売りの数が一致したときに成立(寄り付く)します。
ですので、前場が始まる前に「現物株の買い」と「信用の売り」を同じ株数分、取引成立を優先させる「成行」という注文方法で注文すれば同値売買が可能になります 。
現在は市場に昼休みがありますので後場前でも同じ方法が使えます。
そして権利付き最終日の翌日に同様の方法で、同値で逆の売買することでクロス取りの完了です。
しかし、もっと上手に株取引手数料を抑えてゲットする取引方法があります。
「現渡し」という方法を取れば、現物の買いと、信用の売りの持ち株を
無料で清算が可能で手数料分が節約できます。 ですので、反対の売買は「現渡し」という方法を使いましょう。
現渡しの注文は権利付き最終日の夜には注文が出せますが、あまり早く注文を出すと当日清算になってしまう可能性もありますので、夜9時以降ぐらいに出すのがいいですね。
以上が、タダ取りの仕組みになります。
1点だけ、要注意のリスク【逆日歩】
この株主優待タダ取り法にも1点だけ要注意のリスクがあります。
それが、逆日歩というものです。
逆日歩とは信用買いと信用売りを比べて信用売りが多いと、
信用売り方から買い方に支払われる手数料(株調達費用)のようなものです。
逆日歩や手数料などの経費に関しては別ページでもう少しまとめて説明します。
逆日歩に関しては以下の事を、まずは知っておいてください。
・株価に対して最大逆日歩は分かりますので、最大リスクは計算できます。
・権利日の信用状況(売り買い数の差)から逆日歩のある程度の予想が出来る。
・一般信用といわれる方法で、逆日歩を払わない信用取引が可能な場合もある。
クロス取り引きが出来る銘柄を何でも実行するのではなくて、
逆日歩を考えても利益が出せる(得をする)ことが出来る銘柄に対して
株主優待タダ取りを実施すれば、ほぼ無リスクで利益が出せるといえます。
次回は、逆日歩も含め株主優待タダ取りに掛かる費用について説明します。
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