皆さんはむさし証券トレジャーネットと聞くとどんなイメージを抱くでしょうか?私はどちらかと言うとネット証券でも特徴が薄くどこを推したら良いのか、分からないなぁと感じていました。

ただ実は証券会社としての歴史も古く、長く付き合うためにあまり見えないところで頑張っている証券会社です。2016年11月の取引手数料引き下げによって、目に見える部分まで特徴が出てきました

このタイミングで突撃インタビューが出来たことは非常に嬉しく、いろいろなことを聞いてきましたので、参考になる部分があればと思います。

musashiinterview

それではインタビューに行ってみましょう!

【目次】

今回はむさし証券のインターネット事業部内田様にお伺いしました。貴重なお時間を頂きありがとうございます!

 

Q.最初にむさし証券トレジャーネットの特長をまずはザックリと紹介して頂けますでしょうか?

musashiinterview1むさし証券トレジャーネットはもともと「そしあす証券」としてサービス提供していました。2010年にそしあす証券と武蔵証券が合併し、むさし証券というひらがなで「むさし」という名前になっています。

親しみやすく投資のハードルを下げたいというコンセプトから社名もひらがなを使っています。2010年からは本社を埼玉県さいたま市に移していて、現在は店舗部門とネット部門を有する証券会社になっています。2017年3月8日で創業98年と歴史があり、後2年で100周年ということになります。インターネット部門を立ち上げてからも後発ではありますが11年サービスを続けております。

インターネット取引ではSBI証券さんや楽天証券さんなどの大手ネット証券に比べると、後発参入になりますので、その中で何に特徴を持たせるか?という部分では「手数料を下げることがお客様の投資のハードルを下げる、一番のプラスになる」ということを念頭に初めて、それは今でも変わらないところです。

出来る限り無駄を省いたコストで運営して、その削減分をお客様に還元するということが長い目で見た時のお客様との付き合いで必要なことだという理念でサービスを提供・展開しています。

 

Q.トレジャーネットはネット取引専門として別れていますが、店頭に比べ、または他証券会社様に比べ得意としているところは何でしょうか?

むさし証券では店舗取引とトレジャーネットのネット取引ではしっかりと分けて運営しております。その為、店舗取引の方がネット取引をしたいとなった時には、口座資産をすべて移して別口座といった形で始めてもらっています。店舗取引は、その性質上、資産形成ということで外債や投資信託など商品のラインナップに力を入れていますが、インターネット取引は信用取引の取引コストに注力しています。

特に信用取引の信用金利は非常に注力しており、制度信用買方金利1.35%は大手ネット証券の大口優遇金利よりも割安な設定です。ここは非常に自慢できるところなのですが、信用取引ということで初心者の方には分かりにくいという部分が反省点としてあります。

そこで2016年11月には取引手数料の大幅値下げを行い、初心者の方にも分かりやすくむさし証券トレジャーネットは取引手数料が安く、シンプルに株取引をするならお得だなと感じて貰えるようにサービスを拡充しました。

他社のないサービスで何があるかと言えば、実はそういったものはそれほど多くありません。必要最低限のサービスを提供することで、運営コストの無駄を省いています。それが手数料を下げる勝負になったときにも勝てる秘訣で、多くのサービスはないかもしれないが、取引時の取引手数料コスト、さらには信用取引でも金利コストなどを他社様と比較して頂ければと思っております。

Point!!

余計な機能を設けて、お客様にその負担を手数料という形で強いるなら必要最低限にして、その分還元姿勢になっている部分が、手数料を安く出来る秘訣です。

 

Q.手数料体系の特長の一つに現物と信用の区別をしていないところがあると思います。他社様と違う部分だと思いますが、理由などありますか?

多くの証券会社が現物と信用の取引手数料を分けている部分があります。現物取引では取引手数料のみですが、信用取引では取引手数料の他に信用金利がお客様の負担となります。信用取引コストを考えた場合、「取引手数料+信用金利」で考える必要があります。

shinyoucost

図:信用金利によるコスト比較のイメージ図

他社様と信用取引コストを比較した場合、保有日数によってそのコストが大きく変わります。シミュレーションで計算するとわかりますが、いくら信用取引の取引コストが安くても、信用金利が大きいと見えない(見えにくい)コストによってお客様の負担が増えることになります。

なお、信用取引は日計り(その日中の両決済)でも1日分の金利が掛かりますので、0日でも信用金利の差で取引手数料を大きく超えてコストに差がつくことがあります。多くのお客様は、上記図の一番左の取引コストの部分だけに目が行きがちですが、信用取引では長く付き合うためには信用金利コストも重要です。

信用取引なら、トレジャーネット』と言われるのは上記のような部分が大きく、表面上でなかなか表れないのでアピールしにくさはありますが、実際使ってみて信用取引の全手数料を比較して頂ければと思います。

2016年11月の取引手数料値下げで、少額手数料・現物・信用すべての取引で競争力のある状態になっていると思います。現物と信用の手数料体系を分けてしまうと、それはそれでテーブル作成コストなどもかかりますし行っていません。出来る限り運営コストを抑えるという方針では、本当にシンプルに提供していくことだと考えています。

 

Q.信用取引の金利が他の証券会社に比べて低いのは自慢の部分だと思います。金利手数料をここまで下げられている仕組みはどういったところにありますか?

当社はまず、信用金利を抑えてじっくり投資を行っていただきたいと思っています。金利コストは投資期間に応じて増えてきます。信用取引を行う際には金利コストに注目していただきたいのです。

金利手数料を下げられる仕組みは、先程も申し上げた通り余計なサービスを提供しないことで、手数料に競争力を付けられる運営体制にしています。

また、信用金利の低さに注目して当社に長い目線でお付き合いいただけるお客様が増えることで、当社としても長く信頼関係を築けるお客様を獲得することになりますし、当社とお客様の中でWin-Winの仕組みになると思っています。

 

Q.投資家の方にはあまり知られていないが、むさし証券トレジャーネットが得意としているサービスはありますでしょうか?

信用取引の金利コストの重要性がなかなか投資家様に伝わりません。
信用取引は単に危ないとか金利がかかると思われがちですが、トレジャーネットの信用金利は1.35%です。一方で東証一部の配当単純利回りは1.9%(28年9月)です。

heikinrimawari

参考ページ 株式平均利回り(東証では毎月単純平均利回りなどを公開しています)

ざっくりと考えて現物株式を保有していれば、その株式を信用取引の担保として新たな取引ができますが、その信用取引の金利コストは現在のところ配当利回りで賄えるということになります。

信用金利が安いことで、現物株式を担保にして有効に投資ができる環境が整うことになります。信用金利が安く東証1部の配当利回りよりも低く推移している点は他の大手ネット証券では真似出来ないメリットの部分で、当方の証券会社で現物と信用を利用すればより投資効率が負担なく高まるということを理解して欲しいと感じています。

Point!!

こういったことは私は思いつきませんでしたが、配当利回りよりも信用取引金利が安いということは自身の資金をより活用できる環境が整っているということです。信用取引の買いでも配当はでませんが、配当調整金が貰えますので、単純にコスト面でほとんど負担なく、資金効率を高めチャンスを掴む可能性が高くなります。

 

Q.他社様にない(提供していない)商品などありましたら教えてください。

先程も申し上げた通り、当社のポリシーとしては必要最低限の機能を設けてコスト削減し、お客様に手数料で還元することを指針としているので、他社にない商品となると正直なところ他社に劣るかとは感じています。

ただ、使い方次第では使い勝手が良いツールとして「Tナビ」が挙げられます。例えばサラリーマンの方が仕事をしながら自分の投資の状況をチェックしたいなどあると思います。ただ仕事中に株価を頻繁にチェックスすることは難しいですし、会社のPCで自分の資産が出てくる証券会社の口座にログインするなどは難しいでしょう。

「Tナビ」ですと非常にシンプルで証券会社の保有資産に依存しないという特徴があります。ブラウザのセッションで動作しますので、一度ログインしてしまえばブラウザを閉じない限り同じ状況で見れます。さらにブラウザを閉じてももう一度ログインすればマイポートフォリオのデータは残っています(6ヶ月保持)。

高機能な取引ツールとは言いませんが、シンプルに見たい情報を手軽に見れるツールで時価情報(リアル株価等)はしっかりと表示されます。ちょっとした株価チェックに非常に使えるツールだと思いますので、一度使って頂ければと思います。

「インタビュー後にTNAVIを試してみました」

tnavi1tnaviphone

私の場合ですが、自分のポートフォリオ以外で株価チェックしたいときは証券会社ではない独立したものとしてYahoo!ファイナンスのポートフォリオ機能に気になる銘柄を入れていました。上記はIPO銘柄を入れて観察しています。

TNAVIですともちろん同じような機能はありますし、ダブルクリックなどで板情報など証券会社のツールさながらのデータ(18種類の分析指標あり)が見れます。しかも黒をバックにしていて非常に見やすい画面です。もちろん入力した銘柄はスマホなど他のデバイスでログインしても同じように見えます。

非常にシンプルな閲覧ツールというイメージでした。これで十分と感じるのですが、欲を言えば1ページ20銘柄をもう少し増やして欲しい、アラート機能あたりがあれば嬉しいですね。

 

Q.当方のサイトはIPOの情報を多く提供しているのですが、貴社はIPOに関しては強みはありますか?

まずひとつは完全平等抽選です。ネット証券では完全抽選のところも多いと思いますが、完全抽選ですので取引状況や資産状況に影響されず公平に配分されます。口座開設後すぐのお客様でも平等ですので、新規の方に優しいと言えると思います。

Q.幹事証券などになった時、店舗口座とネット口座ではIPOの配分に差が生じますでしょうか?

店舗とネットへの配分に関しては一定の割合で別れており、そのネットに回ってきた量に関しては完全抽選です。店舗の裁量配分のほうがIPOが貰えるのではないか?ということだと思いますが、インターネットでそういった情報を探している方が、店舗の裁量配分を貰うように動くというのはそれ程メリットがなく、それなら完全平等抽選のネット口座を利用した方がいいと感じます。

IPOを多く扱えばそれだけ当社に魅力を感じていることは理解していて、IPO担当部門には頑張ってもらいたいというのが、全社的な捉え方です。過去の歴史から見て「むさし証券」は幹事証券になることが多いですので、それだけ抽選申し込み機会は多い証券会社だと自負しております。

IPOに関してはもちろんプライマリーで公募取得もいいですが、その後のセカンダリーなど本来の株取引の魅力も感じて欲しいと思っています。

IPOは完全平等抽選です。歴史のある証券会社で幹事証券にも良くなっている印象です。とりあえず、申し込まなきゃ損でしょうか?

 

Q.トレジャーネット利用者の年齢層や男女比などのデータ、そしてどういった方々に利用していただきたいか教えて頂きたいです。

muashigraph証券業協会に調査用として出している資料がありますので、それを元に紹介しますと年代に関しては高めで40~60代の方、つまり手数料が安い点と信用金利が安い点を理解できる投資経験者の利用が多いイメージです。男女比に関しては8:2程度で男性の方の取引が多いです。

データが示しているように現在はやや年齢層が高めの方に支持されており、さらにトレジャーネットの基盤を拡大するには若年層、投資初心者がもっと当社を利用して欲しいと言う思いがあります。

その施策として打ち出したのが昨年度2016年11月に業界最安水準の手数料の改定です。特に少額取引手数料で、大手ネット証券はもちろん、他の手数料が安い証券会社に対しても競争力がある取引手数料だということを表面上でも理解してもらいやすくしました。

2016年11月は大きな変換点です。分かりやすい部分でもアピールポイントがあり、さらに使ってもらえれば創業98年の安心感と低い信用金利で長く付き合える証券会社と感じ取ってもらえればと思います。

 

Q.これからトレジャーネットを利用しようとする方は、まずは何から、どういった手順で始めるのがオススメですか?

具体的な商品を勧めるというのは難しいですが、投資のポイントだったり、入口の基本という意味では、初心者の方は「過度なリスクを追い求めないこと」「時間分散」「銘柄分散」「リスクとリターン」をよく考えて投資をして頂きたいです。

当社は手数料が安いのが特徴ですので、売買に関してはコストを抑えて行いやすいと思いますが、少額取引である端株の取り扱いなどは行っていません。最近の商品ですと「ETF」などが手数料も安く、少額から銘柄分散などが可能で始めやすいかと思います。

etfguide

東証に上場しているETFでも200以上の銘柄数があり、様々な商品がETFを通して買えます。

特にトレジャーネットの立場からしますと、商品の取り揃えは他社様より劣るかと思いますが、よく考えるとETFを使えば外国株ETF,商品ETFなどもあり、ETFを通して様々な内容で分散投資できます。

 

Q.最後になりますが、投資家の皆さんへのメッセージをお願い致します。

IPOや株主優待を皮切りに株式投資を始められた方も多いと思いますが、是非それだけではなくて将来の資産形成や将来の大きな成長を描いて、じっくりと株式の投資を楽しんでいただきたいと思います。

そのために、トレジャーネットは安いコストで投資家の皆様を応援する環境を整えております

永く当社のファンで頂くためには、長期的に見た時のコストが抑えられていることがお客さまのメリットになり必要です。その答えとしてトレジャーネットでは今までも低い信用金利という答えで提供してきました。2016年11月からはさらに売買取引手数料を少額からでも下げることで、当初のお付き合いでも手数料で分かりやすくメリットが出ているようになっています。

社長のメッセージに「信頼の種を撒く」という言葉があります。今、お客様の為に精一杯行動し、その種が実を結べば、また次の種をまくことが出来ます。そうして多くの方に末永く利用して頂ける証券会社でありたいと考えております。


「インタビュー編集後記」

この度は、忙しい中、むさし証券様には貴重なお時間を頂いてインタビューさせて頂くことが出来ました。

ちょうど2016年11月の手数料改定は大きな転換ポイントで、今非常に頑張っているイメージがあり、当方にもこういった貴重な機会を頂けたと思います。

musashinesage

証券会社株式取引手数料比較一覧

私の得意分野に各サービスの細かい部分のデータ比較をして、本当におすすめの情報を出すところがあります。2016年11月のむさし証券トレジャーネットの手数料値下げは、サービス比較データ分析の結果として見せられる部分となり当方としても注目していました。

今回のインタビューでは、さらに私の知らなかった「信用金利の安さとそのメリット」を知ることが出来ました。特に信用取引は投資初心者の方には、なんとなく怖そうというイメージを持たれている方も多いかもしれません。しかしながら低水準の金利では利用しないと損と感じ取って貰えればと思います。

むさし証券トレジャーネットは信用の買方金利が大手ネット証券に比べてすば抜けて低水準ですので、少ない資金力でも投資のチャンスを掴むには非常に良い環境が整っていると感じました。

これを書くと他の証券会社に怒られてしまうかもしれませんが、むさし証券では設備コスト削減のため、商品ラインナップやツール面といった部分は強くないかもしれません。そう考えれば、そういったところは他の証券会社を利用して、取引はむさし証券を利用すれば、私達にとってはコストを抑えながら良い環境で投資出来る、いいとこ取りの投資が出来るなと感じました。

むさし証券トレジャーネット

是非、手数料の安さと信用金利の低さを実感してもらえれば幸いです。