IPOは基本的にディスカウント価格であったり、新規性があるため人気が高く、
上場時の初値は公開価格を上回る確率のほうが高いです。

しかしながら、幾つかの銘柄では公開価格を下回って初値を迎える公募割れ銘柄も毎年何銘柄が出てきます。

こういった公募割れ銘柄を掴まないためにも、IPO銘柄のしっかりした選定も重要になっています。

IPO銘柄選別

今回はIPO銘柄を選定する上でポイントとなる部分について紹介していきます。
銘柄判別やBBスタンスの検討する時に以下の項目を気にしてみてください。

【IPO結果一覧】上昇率、損益、その後の値動きなどチェックに(分析版)

なお、過去のデータで抽出条件を利用して結果を見たい場合は上記ページにでデータをまとめていますので利用してください。


項目別に重要度も3段階で紹介します。

・上場市場 (重要度:★★)

上場市場による銘柄判別は過去の同じ市場に上場した銘柄の結果が参考になります。
東証マザーズ上場銘柄が人気。逆に初値という点では東証2部などが地味さが出るため不人気です。

・業種 (重要度★★)

新規性のあるネット系企業が人気、すでに出来上がった業種や新規性やオリジナリティがあまりない業種は不人気。不動産系などその時の景況感に大きく左右される業種もあります。

・調達資金使途 (重要度★)

例えば資金使途が借金返済などに使われるようではダメ。
新しいサービスへの資金注入や新規店舗など成長性が見込めるものへの使途であれば良い。

・企業名や知名度 (重要度★★)

一般的に世間に知られている銘柄は注目度が高まるためプラス。BtoB的な市場で活躍している企業も信頼性が高いと評価されてプラス。また企業名は漢字を使ったような古臭いものよりカタカナ名のほうが新規性で支持される。

・公募、売出数と比率 (重要度★★)

売出数はそのまま売った人(既存株主)の利益になるためマイナスで、比率は公募比率が高いほうが良い
全体の枚数は少ないほうが需給面で初値高騰の原因となる。

・上場日(重要度★★)

他のIPOと上場日が重なってしまうと買い資金が分散するのでマイナス。
できるだけ他の上場銘柄と時期がずれている方が注目度が高くなりプラス
また年始・年末アノマリーなどもある(第一号銘柄、最終銘柄はプラス)。

・吸収金額(重要度★★)

吸収金額が少ないほうが需給面でプラス。景気が悪い(地合いが悪い)時は特に顕著。マネーゲームの対象になりやすくボラティリティが高くなる。

・公開価格(重要度★)

価格が安いほうが買いやすく、伸びしろもあるのでプラス。
しかしながら価格が高い(値ガサ)と言われる銘柄のほうが同じ暴騰率でも1枚あたりの利益が大きくなる。
リスクとリターンが公開価格の大きさにそのまま比例するような形

また価格の妥当性は、同業種があれば同業種とのPER比較などで割安かの選定ができる。

・会社の業績(重要度★★★)

もちろん業績の伸びは重要。目論見書にて直近の売上、利益の伸びをチェックする。
もう一歩踏み込む場合は上場以降の伸びしろがあるかも見ておきたい。

・主幹事証券と引受シンジケード団(重要度★★)

主幹事と幹事団の実力が高いほうがプラス(上場時の安心感などにつながる)。
また価格形成のためにシンジケード団が関与する部分から、その信頼感が買いにつながる。

主幹事には意外と癖があり、仮条件価格設定・上場日の動きなどの参考になる。また、それを逆利用すればセカンダリーも入りやすくなる。簡単にいえば、上場に主幹事が積極に関与するところと、放置するところがある。

・仮条件価格の状況(重要度★)

想定価格と比較して、どうなったかを見極める上で重要。
ただし、高くなれば強気と同時に割高になったという点でどちらが良いとはいえない。

また公開価格が仮条件の中では上限で決まるほうが需給観測的に良い。

・会社設立日(重要度★)

新しい会社のほうがプラス。これからの伸びが楽しみであるため。

・会社規模(重要度★)

そこまで気にしなくても良いが、ある程度の規模がないと安心感がない。

・会社所在地(重要度★)

地方銘柄より都心銘柄のほうがプラスの傾向がある。

・監査法人(重要度★)

信頼出来る(名の知れた)監査法人かのチェック程度

・ストック・オプション、ロックアップの状況(重要度★★)

ストック・オプションは基本的に未行使分が多く、また行使価格が公開価格との比較で低いとマイナス
ロックアップはV.C.などにしっかりかかっているかが重要。
逆にこういった心配がない銘柄は売り圧力が少ないと判断できプラス

 

以上、基本的なIPO銘柄選定に見ておくと良さそうな項目を紹介しました。目論見書などは内容が多岐にわたりますが、ある程度項目を絞って見ておけば読む時間も短くて済みます。

何銘柄か自分の目でチェックして、初値予想・BBスタンスを読者初値予想などにアウトプットしておくと精度が高まってくると思います。

IPO初値予想、読者予想の結果と投票所